水槽で観賞魚などの生体や水草などを飼育する際には、水温の管理が非常に重要です。
そのため、水槽には水温計を設置して水温を正確に把握できるようにすることが望ましいです。
水槽用水温計の役割や効果、必要性については以下の記事でまとめていますのでそちらもご覧ください。
このページでは、水槽用水温計の種類や特徴について詳しく解説し、選び方やおすすめも紹介します。
水槽用水温計の種類
水槽用水温計には様々な種類があります。
ここではそれぞれの特徴やおすすめの製品を紹介します。
棒状水温計(ガラス棒水温計)
棒状水温計(ガラス棒水温計)とは
棒状水温計(ガラス棒水温計)とは、ガラス管の中に感温液が封入されており、水温によって液体の体積が増減する、液体膨張原理を利用した水温計です。
水温の変化によって液体の体積が連続的(飛び飛びでない)に増減するため、棒状水温計はアナログ式水温計の一種ということになります。
アクアリウムでは、感温液として赤色や青色などに着色された精製白灯油が使用されることが多く、液体の上縁部のガラス管に印字された数値を読み取って使用します。
棒状水温計(ガラス棒水温計)の特徴
棒状水温計(ガラス棒水温計)の特徴は以下の通りです。
- 比較的値段が安い
- 吸盤やマグネットで水槽壁に固定して使用する
- 経年劣化でガラスが収縮して誤差が生じることがある
- 衝撃で割れることがある
- 急な温度変化で割れることがある
- 赤色の感温液は紫外線で退色してしまうことがある
- 水温の読み取り方には注意が必要
棒状水温計は比較的安価であり、ペットショップやホームセンターなどでも販売されているので入手しやすいです。
水槽への取り付け方としては、付属の吸盤(キスゴム)を使用して水槽壁に取り付けることが多いです。
キスゴムの場合は簡単に設置ができますが、長期間使用していると経年劣化により白色化して目立つようになったり、硬化して吸着力が低下して外れてしまうことがありますので定期的な交換が必要です。
水作の「マグテンプ」のように、磁石で固定するタイプの水温計の場合は劣化することがほとんどなく、水温計の移動も簡単なのでメンテナンス時にも使い勝手が良く、非常におすすめです。
強力マグネットでしっかり水槽に固定。
ゴムの劣化もなく取り付け面積も少なくてすみます。
MとLの2種類の大きさがあります。
また、棒状水温計のガラス管は経年劣化により収縮するため、長期間使用していると徐々に管腔が狭くなって実際の水温よりも高く表示されるようになることが多いです。
環境や使い方にもよりますが、3年に一度程度で新しいものに取り換えるなど、定期的な確認や交換が必要になります。
水温計自体がガラスなので急激な温度変化や衝撃には弱く、割れてしまうこともあるので取り扱いには十分注意するようにしましょう。
また、水温を読み取る際には、目線の高さで水温の見え方が変わってきます。
基本的に、棒状水温計の場合は、感温液の上縁に目線の高さを合わせて、目盛りに対して水平(水温計に対して垂直)に見るようにすることによって、正確に読み取ることができるようになります。
このように、毎回同じ器具(水温計)で、同じ場所や条件で日々水温を測定し、管理していくことで、水温や水槽の状態の変化が見えてくるようになりますので、水温計の測定の仕方は統一しておくのが望ましいです。
また、赤色の感温液を使用している水温計は、紫外線を浴びると液が退色することがあります。
強い紫外線の出る照明機器の下や屋外で使用するのは避けたほうが無難です。
青色の感温液の場合は比較的紫外線に強いので問題が無いこともあります。
デジタル式水温計
デジタル式水温計とは
デジタル式水温計とは、水温を感知するセンサーと水温を表示する液晶がセットになった水温計です。
センサー部で水温の変化に伴う電気抵抗の変化をとらえて水温を割り出す方式の水温計が多いです。
水温の変化と電気抵抗の関係は連続的に変化しますが、水温の表示は数字(小数点第一位までのことが多い)であり、離散的(飛び飛びの値)であるため、このような形式の水温計をデジタル式水温計と呼んでいます。
各メーカーより様々なデジタル式水温計が販売されています。
デジタル式水温計の特徴
デジタル式水温計の特徴は以下の通りです。
- 液晶画面に大きな文字で水温が表示されることが多く読みやすい
- 水槽内に入れるのはセンサー部のみなので目立ちにくい
- センサー部は吸盤などで水槽壁に固定して使用する
- センサー部と水温を表示する液晶画面をつなぐ配線がある
- 電池などの電源が必要
- 高機能なものは値段が高い
- 長期使用では実際の水温とズレが生じてくる場合がある。
デジタル式水温計は、水温が液晶画面に直接数字で表示されるので非常に読みやすいです。
また、センサー部を吸盤などで水槽壁に貼り付けるなどして水槽内に設置する必要はありますが、センサー分はコンパクトなことが多いので、側面や背面などの目立たないところに貼り付ければ主張も激しくないので良いです。
ただし、センサーと液晶をつなぐ配線があるので、水槽にフタがある場合には配線を通せるだけの穴や隙間が必要になります。
また、使用するためには電池などの電源が必要になります。
多くはボタン電池であることが多いですが、電池が切れて水温が表示されなくなったら新しい電池に交換する必要があります。
デジタル式水温計の中では、水温を表示するだけのシンプルな製品であれば、テトラの「デジタル水温計」が比較的安価でコストパフォーマンスが良く、定番の製品でもあるため非常におすすめです。
スタイリッシュなデザインで、見やすい液晶のデジタル水温計です。
水温センサーのみを水槽内に設置するタイプです。
マジックテープで水槽壁面に取り付けたり、スタンドを使用して水槽台に置いたりして設置が可能です。
水温測定や表示だけでなく、機能が多い高機能デジタル水温計は比較的高価になります。
例えば日本動物薬品の「マルチ水温計 H」という製品は、水温と気温の両方を測ることができ、最高・最低の温度を記録できるようになっています。
値段は千円以上と水温計としては高価ですが、一日を通して水温に問題が無いかどうかを確認したい場合には非常におすすめです。
防滴機能付きのデジタル水温計です。
水温と気温を測定し、大型デジタル液晶画面に表示します。
メモリー機能搭載で、最高・最低の気温と水温を記憶します。
背面フックとスタンドで、様々な場所に設置することができます。
デジタル式水温計の場合も、アナログ式のものと同様に、長期に渡って使用していると、時間経過とともに実際の水温とのズレが生じる場合があります。
ユーザー自身での水温の校正ができない製品が多いので、実際の水温との乖離がみられる場合には新しいものに交換する必要があります。
正しく水温を測定するためには、アナログ式水温計と同様に3年に一度程度で定期的に交換することが望ましいです。
貼るタイプの水温計
貼るタイプの水温計とは
貼るタイプの水温計は、水槽内ではなく、水槽の外壁に貼り付けるタイプの水温計です。
水温に対応した部分の色が変化するものや、液晶画面に水温を数値で表示する製品もあります。
貼るタイプの水温計の特徴
貼るタイプの水温計の特徴は以下の通りです
- 水槽壁にシールやマジックテープで固定する
- 水槽内に設置しないのでレイアウトと干渉しない
- コードレスなので水槽周りがスッキリする
- 水槽外壁に設置するので観賞の邪魔になる場合がある
- デジタル式のものは電池などの電源が必要
- 実際の水温が反映されるまでの時間がやや長い
- 水槽壁厚や水温と室温の差などの環境が精度に影響する場合がある
- 使用する水槽の壁厚に対応しているかを確認する必要がある
貼るタイプの水温計は、水槽外壁にシールやマジックテープなどで貼り付けて使用するため、水槽内のレイアウトと干渉しません。
そのため、水槽の中に極力ものを設置したくない場合や、ボトルアクアリウムや小型水槽などでも設置しやすいです。
ボトルアクアリウムでベタなどを飼育する場合には、水作の「貼るテンプ M」などが重宝します。
水温計がセットしにくい小さな水槽でも簡単に取り付けることができるシールタイプの液晶水温計です。
コードレスなので水槽周りに配線がなく、非常にスッキリとしますが、水槽の外壁に水温計が張り付いている状態になるので、観賞の邪魔になる場合もあります。
気になる場合にはできるだけ目立ちにくい場所に設置する必要があります。
水温の変化に伴って対応する部分の色が変化するアナログ式のものであれば電池は必要ありませんが、液晶画面に水温を数値で表示するデジタル式のものは電池が必要です。
貼るタイプの水温計でデジタル式のものには、GEXの「コードレスデジタル水温計 ワイド」などがあります。
水温も読みやすく、普通のデジタル式水温計のような配線が気になる方には非常におすすめです。
一目で水温表示が分かる、大画面ワイドディスプレイ採用のデジタル式水温計です。
設置は水槽の外側ガラス面に貼るだけなので、コケや汚れがつかずにきれいで長持ちします。
インテリア水槽に溶け込むシンプルなデザインです。
また、水の温度を直接測定しているわけではなく、水槽壁を通して測定しているので、実際の水温を反映するまでに多少の時間がかかります。
水換え中の温度変化を確認したい場合などでは、すぐに水温を確認できるように、水槽内に設置するタイプの水温計を使用したほうが良いでしょう。
貼るタイプの水温計の精度については、通常の環境では水槽内に設置する水温計と同様に、製品の取扱説明書に記載されている精度(±1~2℃程度が多い)を満たして測定できることが多いです。
ただし、水槽の壁厚や、水温と室温の差が極端に大きい場合など、環境によっては水槽内で直接水温を測る水温計と比較して精度が低下する場合もあります。
また、水槽壁厚が7mmまでなど、制限がある製品もありますので使用する水槽の壁厚と水温計の取扱説明書を良く確認するようにしましょう。
水槽用水温計の選び方
アクアリウム用の水温計は様々な製品が販売されており、使用する水槽の環境や目的に応じて製品を選ぶ必要があります。
ここでは水槽用水温計の選び方について解説します。
高い精度を求める場合におすすめな水温計
高い精度で水温を測定し、水温管理をシビアに行いたい場合には高精度な水温計が必要になります。
一般的に販売されている水温計は、測定精度が±1~2℃程度とされているものが多いですが、経済産業省届出製造事業者として認可を受けているエヴァリス社の「きっちり計れる水温計 L」は測定精度が±0.5℃と非常に精度良く水温を測ることができます。
基準精度±0.5℃で、水温を正確に測定することのできる水温計です。
水量が少ない水槽でも横向きでセットすることができます。
信頼の日本製です。
また、このような測定精度が高い水温計を複数用意しておくと、他の水温計の異常などもわかりやすくなります。
ただし、精度の良い水温計もガラスの収縮などの経年劣化により、水温の表示がずれていく場合がありますので、3年に一度程度で定期的に新しいものに交換するなどの対策は必要になります。
ボトルアクアリウムや小型水槽におすすめな水温計
ボトルアクアリウムや小型水槽の場合は、スペースがあまりなく水温計が目立ちやすくなるため、できるだけ小さい水温計を選ぶ必要があります。
ボトルや水槽の上部からケーブルを出せるようであれば、水槽内に入れる水温センサーが小さいデジタル式水温計がおすすめです。
水槽内にはセンサーのみを入れるだけで良いので目立ちにくく、水温を表示する液晶画面もケーブルが届く範囲で好きな場所に設置できるので観賞性に影響しにくいです。
スタイリッシュなデザインで、見やすい液晶のデジタル水温計です。
水温センサーのみを水槽内に設置するタイプです。
マジックテープで水槽壁面に取り付けたり、スタンドを使用して水槽台に置いたりして設置が可能です。
フタ付きの瓶でボトルアクアリウムをやる場合や、ケーブルがない方が良い場合には、小型のガラス棒水温計を使用するのが良いでしょう。
GEXの「クリスタル水温計 SS アクアブルー」などは小さくて目立ちにくく、感温液も涼しげな青色で観賞性にも優れているので非常におすすめです。
アクアブルーの水温表示を採用した小型水温計です。
ボトルアクアリウムや小型水槽におすすめな水温計です。
水槽内に水温計を設置したくない場合には貼るタイプの水温計もおすすめです。
水作の「貼るテンプ M」などであれば、ボトルや水槽に貼るだけで設置も簡単であり、配線もなくレイアウトにも干渉しないため、非常に有用です。
ビオトープやメダカ鉢などの屋外飼育におすすめな水温計
ビオトープなどの屋外飼育では、陶器製の鉢やトロ舟などの透明でない飼育容器を使用することも多く、水面からのみ観察できるようになっていることも多いと思います。
このような場合には、スドーの「浮かべる水温計」を使用すると、水に浮かべるだけで簡単に水温の測定ができるので非常に便利です。
水面に浮かべて上から水温を読み取る水温計です。
狭い水面でも場所をとらないコンパクト設計なので、メダカ鉢などにおすすめです。
水に浮かばせておけば簡単に水温測定が可能であるため、水換えや生体導入時に複数の水の水温を簡易的に測りたい場合などにも使いやすいです。
ただし、この水温計で測定できるのは水面付近の水温だけですので、水中や底付近の水温とは異なる可能性があります。
また、直射日光が当たる場所では、実際の水温よりも高く測定される場合もありますので注意が必要です。
その他の一般的な水槽におすすめな水温計
その他の一般的な水槽であれば、どのタイプの水温計を使用しても問題はないと思います。
ただし、水温計のタイプや製品ごとに特長や欠点などもありますので、上記を参考に、自分の水槽の環境に合った水温計の中からお好みのものを選んでいただければと思います。
まとめ
水槽用水温計の種類
水槽用水温計の種類には、棒状水温計(ガラス棒水温計)やデジタル式水温計、貼るタイプの水温計などがあります。
棒状水温計(ガラス棒水温計)
- ガラス管の中に感温液が封入されており、水温によって液体の体積が増減する、液体膨張原理を利用した水温計
デジタル式水温計
- 水温を感知するセンサーと水温を表示する液晶がセットになった水温計
貼るタイプの水温計
- 水槽内ではなく水槽の外壁に貼り付けるタイプの水温計
水槽用水温計の選び方
水槽用水温計を選ぶ際には、水温計の種類や製品ごとの特長を理解し、自分の水槽に合った適切なものを選ぶ必要があります。
例えばシビアに水温を管理したい場合には測定精度が±0.5℃と非常に高いエヴァリス社の「きっちり計れる水温計 L」がおすすめです。
また、ボトルアクアリウムや小型水槽などの場合には、センサー部が小さいデジタル式水温計を使用するか、小型のガラス棒水温計、貼るタイプの水温計を使用するとレイアウトと干渉しづらく、目立ちにくいのでおすすめです。
ビオトープやトロ舟、メダカ鉢などでの屋外飼育など、上から観察することが多い場合にはスドーの「浮かべる水温計」などが扱いやすいので非常におすすめです。
その他の一般的な水槽ではどのタイプのものを使用しても問題はないと思いますので、特徴を理解した上で自分の水槽に合ったものをお好みで選ぶと良いと思います。
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