夏場の水槽の高水温対策には水槽用クーラーが非常に有用です。
水槽用クーラーをより効果的に使用するためには、水槽の水量や飼育する生体、部屋の環境などに応じた水槽用クーラーの種類やスペックを適切に選択する必要があります。
ここでは水槽用クーラーの種類と選び方について詳しく解説していきます。
水槽用クーラーとは
水槽用クーラーとは、水槽の水温を下げるために使用される冷却装置です。
ほとんどの水槽用クーラーは水槽の外部に設置し、水中ポンプやフィルターに接続して水槽の水をくみ上げて、クーラー本体内部を通して水を循環させることによって冷却します。
水槽内の温かい水をクーラー本体内で冷やして水槽に戻すイメージです。
水槽用クーラーを使用した水槽冷却のメリットやデメリットについては以下の記事でまとめていますのでそちらもご覧ください。
水槽用クーラーの種類
水槽用クーラーには「ペルチェ式」と「チラー式(コンプレッサー式)」の2種類の冷却方式があります。
それぞれの特徴を解説します。
ペルチェ式の水槽用クーラー
ペルチェ式の水槽用クーラーでは、ペルチェ素子と呼ばれる半導体熱電素子を使用しています。
この素子はn型半導体素子とp型半導体素子と金属が接続されたものとなっており、電流を流すと片面に吸熱反応(冷える)が起こり、もう片面に発熱反応(温まる)が起こります。
電流の向きを逆にすると吸熱と発熱の向きが逆になったり、電流を加えず素子の両側に温度差が生じると起電力が発生するという面白い性質をもった素子です。
このようなペルチェ式を採用している水槽用クーラーの冷却能力はチラー式と比較すると低いです。
そのため、水中ポンプや照明などの熱源となる装置が多くついている水槽や、部屋の気温が非常に高い場合は十分に冷やしきれない場合もあるので注意が必要です。
冷却効率も高くないため、稼働時間も長くなる傾向があり、チラー式と比較して冷却能力の割に電気代が高い傾向があります。
ペルチェ式の水槽用クーラーのメリットは、チラー式と比較して安価であり導入費用が安いことと、本体サイズがコンパクトで排熱量や稼働音が小さいことが挙げられます。
水量の少ない水槽においては十分な冷却能力であることが多いので、小型水槽向けの水槽用クーラーであるといえます。
ペルチェ式の水槽用クーラーのメリット
- 値段が安い
- クーラー本体がコンパクト
- 排熱量が小さい
- 稼働音が小さい
ペルチェ式の水槽用クーラーのデメリット
- 冷却能力が低い(小型水槽向き)
- 冷却能力の割に電気代が高い
チラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラー
チラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラーでは、本体内で冷媒を循環させて冷却を行います。
コンプレッサーを使用して冷媒に圧力をかけて高温高圧の液状冷媒とした後、減圧して冷媒が気体になる際に周りから熱を奪う性質を使用して冷却を行います。
ペルチェ式と比較して排熱が大きいため冷却ファンなどの稼働音も大きく、クーラー本体周辺に熱がこもると冷却効率が落ちます。
そのため、狭い場所や壁の近くなどには設置しないほうが良く、部屋の室温が35℃以上などに高くなる場合はエアコンも併用したほうが良いです。
また、ペルチェ式のものよりクーラー本体も大きめな傾向があります。
冷却能力が高いため大型水槽にも使用される方式の水槽用クーラーであり、冷却効率も高いので、冷却能力の割に電気代は安い傾向があります。
ただし、ペルチェ式と比較して高価であり、導入費用は高めになります。
チラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラーのメリット
- 冷却能力が高い
- 冷却能力の割に電気代が安い
チラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラーのデメリット
- 値段が高い
- クーラー本体が大きめ
- 排熱量が大きい
- 稼働音が大きい
水槽用クーラーのスペックを確認しよう
水槽用クーラーは、使用する水槽の大きさや水量、水中ポンプや照明などの熱源、目標設定温度や部屋の温度などの様々な環境に応じたスペックのものを選ぶ必要があります。
スペック不足のものを購入してしまうと十分に冷却することができなかったり、常に稼働している状態になって水槽用クーラーの寿命が短くなる場合もありますので、良く確認して適切なスペックのものを選びましょう。
ここでは水槽用クーラーのスペックの選び方について解説します。
水槽用クーラーの対応水量を確認しよう
市販されている一般的な水槽用クーラーは、冷却能力の目安として、対応水量が記載されていることが多いです。
例えば、ゼンスイ社の「ZC-100α」という商品の対応水量は以下のようになっています。
対応冷却水量:100L(周囲温度30℃/設定温度25℃時)
つまり、周囲温度(部屋の室温)が30℃の時に、100Lまでの水槽であれば25℃まで冷却することが可能であるということです。
抜群の静音性・低消費電力が特長の水槽用クーラーです。
ヒーター専用コンセント付きで、オールシーズン使用できます。(※ヒーターは別売です。)
ZC-100αの場合は周囲温度が30℃、設定温度が20℃の場合は対応水量が50L程度と大きく低下し、周囲温度が35℃の場合は対応水量が30%低下するとされています。
このように、記載されている対応水量と自分の水槽の環境を比較して適切な製品を選ぶ必要があります。
また、この対応水量は冷却が可能な最大水量であるため、ギリギリのものを選ぶのではなく、ある程度余裕を持ったスペックの水槽用クーラーを選ぶようにしましょう。
自分の水槽の水量を計算しよう
製品の取扱説明書に書かれている対応水量と、自分の水槽の水量を正しく比較するためには、水量を正しく計算する方法を知っておく必要があります。
具体的には以下のような計算式で計算を行います。
(水槽・濾過層の全体積 [L])+(使用機器の消費電力 [W])
水槽用クーラーの選定の際の水量計算では、水槽や濾過槽の水量だけでなく、フィルターや水中ポンプ、照明などの熱源となる機器の影響も考慮する必要があります。
そのため、水槽と濾過槽の全体積から求めた水量[L]と、熱源となる機器の消費電力[W]を足し合わせて、機器からの発熱を加味したおおよその水量として算出します。
水量と消費電力という次元の異なる単位同士の足し算なので違和感のある計算ではあるのですが、水槽の環境を考慮した水量計算が行えることから、水槽用クーラー選定のために広く用いられている計算方法です。
また、水槽内の水だけでなく石や砂、水草、ろ材なども同様に冷却する必要があるため、実際に水槽に入っている水の量だけでなく石や砂、水草、ろ材なども含めた体積(水槽自体や濾過槽自体の体積)で計算を行う必要があります。
実際には水と石や砂、水草では比熱(1gあたりの物質の温度を1度あげるのに必要な熱量)が異なるので厳密ではありませんが、水槽全体の体積を考慮して大まかに計算します。
また、熱源となりうる水中ポンプやフィルター、照明や殺菌灯の消費電力は足し合わせて考慮する必要がありますが、エアーポンプのように明らかに水槽にとって熱源にならないようなものの消費電力は考慮する必要がないです。
実際の水量計算の例
実際に下の画像の60cmハイタイプ水槽(60×30×40cm)を例に、先述の計算式に当てはめて水量を求めていきます。
水槽、フィルター、照明それぞれに分けて考えていきます。
水槽について
水槽の水量は幅と奥行、高さ(cm)を掛け算して1000で割れば水の体積(L)が算出できます。
この水槽での満水時の水の体積は60×30×40÷1000=72Lとなります。
満水では使用しませんが、このように多めに見積もっておくと安心です。
フィルターについて
この水槽では、上部式フィルターと水中ポンプ式の底面式フィルターを使用しています。
上部式フィルターはGEXのデュアルクリーンDC-600、底面式フィルター用の水中ポンプはGEXのコーナーパワーフィルター F1を使用しています。
GEXのデュアルクリーンDC-600の濾過容量は2.7Lとなっています。
こちらも濾過槽が満水となることはないですが、濾過槽の全容量として多めに見積もっておくと安心です。
濾過槽の体積は製品の取扱説明書に記載されているものがほとんどですが、ない場合には水槽の体積と同様に、幅×奥行×高さ[cm]÷1000 [L]で求めることが可能です。
消費電力についても製品の取扱説明書に記載されているので、その値を計算に使用します。
このフィルターの消費電力は4W(50Hz)/5W(60Hz)となっています。
消費電力は東日本と西日本で周波数の違いにより差が出ることがあるので注意が必要です。
ここでは東日本(50Hz)の4Wを採用することとします。
同様に、GEXのコーナーパワーフィルター F1の消費電力は4.3W(50Hz)/3.2W(60Hz)となっています。
ここでは東日本(50Hz)の4.3Wを採用することとします。
取扱説明書に記載されている消費電力は、最大の消費電力(定格消費電力)であることが多く、実際にはこれよりも低い場合もありますが、多く見積もっておいた方が安心です。
照明について
使用している照明は水作のライトアップ 600であり、消費電力は16Wとなっています。
照明については常時つけているわけではないですが、照明点灯時は水温も上昇しますので、一日の中で水温が最大になる状態でも対応できるように最大使用時の消費電力を考慮する必要があります。
水槽環境を考慮した水量を計算
水槽やフィルター、照明などの水槽環境を考慮し、機器からの発熱を加味した水量を計算します。
水槽・濾過層の全体積は水槽が72L、上部式フィルターの濾過槽容量が2.7Lなので合計74.7Lとなります。
使用機器の消費電力は上部式フィルターが4W、底面式フィルター用の水中ポンプが4.3W、照明が16Wなので合計24.3Wとなります。
以上より、この水槽における機器からの発熱を加味した水量は99Lということになります。
この水槽に水槽用クーラーを使用するとなると動力源として水中ポンプや外部式フィルターなども必要になりますので、その動力源の消費電力も加味しなければならないことを考えると、100Lに対応する水槽用クーラーではギリギリアウトです。
例えばゼンスイ社の「ZC-100α」の対応水量は100L(周囲温度30℃/設定温度25℃時)ですので、これよりも周囲温度と設定温度の差が小さい場合では問題なく使用できる場合もあります。
しかし、予想以上に気温が高くなった場合は対応できなくなりますし、装置の稼働時間も長くなるため負荷がかかり、水槽用クーラーの寿命を縮める可能性もありますので、余裕を持ったスペックのものを選ぶのが望ましいです。
この水槽の場合は同じゼンスイ社のZCシリーズの中でも対応水量が200Lの「ZC-200α」を使用すると安心です。
抜群の静音性・低消費電力が特長の水槽用クーラーです。
ヒーター専用コンセント付きで、オールシーズン使用できます。(※ヒーターは別売です。)
このように、水槽や濾過槽の水量だけで水槽用クーラーのスペックを選ぶのは危険ですので、使用機器の発熱なども考慮して計算を行い、適切な水槽用クーラーを選ぶ必要があります。
水槽用クーラーの循環流量や配管の径を確認しよう
水槽用クーラーを使用するためには、クーラー本体内に水を循環させるためのポンプや配管が必要になります。
水槽用クーラーは製品ごとに推奨される循環流量がありますので、その範囲内の流量の水中ポンプやフィルターを使用しないと冷却能力が低下したり、水槽用クーラーに負荷がかかって寿命が短くなる場合があります。
また、製品によって接続できる配管やホースの径も異なりますので良く確認するようにしましょう。
例えば、ゼンスイ社のZCシリーズの推奨循環流量や使用できる配管の径は以下のようになっています。
水中ポンプを使用する場合は、エーハイム社の「コンパクトオンシリーズ」がおすすめです。
流量調節が可能で、ホース接続など水の取り扱いに優れたコンパクトサイズの水中ポンプです。
付属のキスゴムで壁面に取り付けることも可能です。
ポンプの強さで4種類の製品が選べます。
コンパクトオンシリーズは50Hz用と60Hzに分かれているので、お住いの地域の周波数に合わせて選ぶ必要があり、下の表で示す通り周波数によって若干の流量の差がありますので注意が必要です。
水槽用クーラーは外部式フィルターとも接続することができます。
外部式フィルターでろ過された水が水槽用クーラーを通るように、外部式フィルターの排水側と接続すると、水槽用クーラーの内部が汚れにくくなるのでおすすめです。
特にエーハイムクラシックシリーズは優秀な外部式フィルターであり、非常におすすめです。
エーハイム クラシックシリーズは、シンプルで堅牢な構造から根強い人気と定評がある外部式フィルターの定番機種です。
水槽の大きさや飼育密度に応じて製品を選ぶことができます。
エーハイムクラシックシリーズのうち、2211、2213、2215は50Hz用・60Hz共用ですが、その他は50Hz用と60Hz用に分かれていますので、お住いの地域の周波数に合わせて選ぶ必要があります。
また、下の表で示す通り周波数によって若干の流量の差があります。
このように、エーハイムの水中ポンプや外部式フィルターを使用する場合には、同じくエーハイムから販売されているホースや配管との接続が容易です。
ホースの径や必要な長さをお確かめの上、対応するホースをお選びください。
水槽周りのホースの取り回しに便利なパイプや配管です。
給水パイプやオーバーフローパイプを用いると水槽用クーラーや外部式フィルターとの接続がするホースがスッキリします。
使用するホースや配管については、水槽用クーラーやフィルター、水中ポンプのそれぞれに適合する径が決まっています。
異径ジョイントなどである程度径の変更は可能ですが、適合径から外れたものを使用すると圧力が変化して装置の故障の原因にもなりますので、適合径は守って使用したほうが良いです。
水槽用クーラーやフィルター、水中ポンプの適合径をしっかりと確認し、適切なものを使用しましょう。
また、水槽用クーラーへの接続にダブルタップを使用しておくと掃除の際に水をこぼさずにクーラーを切り離すことができます。
中央部から2つに分割できるタップです。
タップを閉めると殆ど水をこぼすこと無くホースを取り外すことができます。
水槽用クーラーや殺菌灯などの直前・直後に使用することにより清掃が容易になります。
おすすめの水槽用クーラー
ここではおすすめの水槽用クーラーを紹介します。
上で解説したように、自分の水槽の環境に合ったスペックのものを選ぶことを前提とした上で参考にしていただければと思います。
小型水槽向けの水槽用クーラー
30cm以下の水槽などの小型水槽では、ゼンスイ社の「TEGARU Ⅱ」がおすすめです。
小型水槽に最適なペルチェ式クーラーです。
冷却効果だけでなく、冬には保温する効果も持ち合わせます。
手のひらサイズでコンパクトなので、設置スペースにも困りません。
この水槽用クーラーはペルチェ式で冷却能力はそこまで高くないので、対応水量35L以下と小型水槽向きの製品です。
対応水量を満たす小型水槽においては十分な冷却能力があり、チラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラーとはまた違うメリットもありますので非常におすすめです。
この水槽用クーラーは、他のチラー式の水槽用クーラーと比較して値段が安く、本体もコンパクトで排熱量が小さいのが大きな特徴です。
稼働音についてはファンの音が気になる場合もありますが、チラー式の水槽用クーラーと比較するとだいぶ小さい印象があります。
また、水槽用クーラーとしてのみではなく加温・保温の能力も持ち合わせており、冬場はヒーターとしても機能するので1年中使用することができます。
夏場は周囲温度から-5~-8℃程度の冷却効果、冬場は周囲温度から+9~+12℃の加温効果があります。
ただし、あくまで対応水量35Lの小型水槽向けの水槽用クーラーですので、対応水量をオーバーしていると効果が小さくなってしまいます。
公式には40cm規格水槽程度まで対応ということになっていますが、先ほど解説した水量計算法を用いて自分の水槽の水量を正しく計算しておきましょう。
例えば30cmキューブ水槽の場合は水量が約27リットルであり、フィルターや照明などの熱源となる機器が多い場合には、35Lまで対応のTEGARU Ⅱでは能力不足の場合があります。
対応水量を超えた水槽で使用する場合は冷却や加温を緩めに使用するのであれば問題ない場合もありますが、しっかりとした冷却を目的とするのであれば次に紹介するようなチラー式の水槽用クーラーにしたほうが良いと思われます。
小型~大型水槽向けの水槽用クーラー
30cmキューブなどの小型水槽から180cm水槽などの大型水槽をしっかりと冷却したい場合はゼンスイ社の「ZCシリーズ」がおすすめです。
独自開発の高性能二重構造小型熱交換器で冷却効率がさらにアップしました。
ヒーター専用コンセント付きで、オールシーズン使用できます。(※ヒーターは別売です。)
ZCシリーズはチラー式(コンプレッサー式)の水槽用クーラーの定番商品であり、多くの人に使用されている製品です。
対応水量が100Lのものから1300Lのものまで販売されているので、自分の水槽の環境に合わせて製品を選ぶことができます。
また、このシリーズの水槽用クーラーにはヒーター用コンセントが搭載されており、別売りの水槽用ヒーターを接続すれば、夏場の冷却のみではなく冬場も水温を監視して冷却と加温を行い水温を一定に保ってくれます。
ただし、チラー式の水槽用クーラーですので冷却能力は非常に高いですが、ペルチェ式クーラーと比較すると稼働音が大きくなります。
ZCシリーズのうち、ZC-100α、ZC-200αについては公称のデシベル値が38dBとなっており、静かな住宅街や図書館並みの音とされていますが、何も音が発生していない家の中で聞くと気になる場合もあります。
ZC-500α、ZC-700α、ZC-1000αについては50dB付近(エアコンの室外機、静かな事務所並み)、ZC-1300αについては57dBと結構うるさくなります。
静音性を重視する場合はZC-100α、ZC-200αまでにとどめたほうが良いでしょう。
この水槽用クーラーをおすすめする理由はその性能だけでなく、ゼンスイ社のカスタマーサービスがしっかりとしているからです。
故障時の修理の際も安心ですし、有料でのオーバーホールも受け付けているので、定期的に分解丸洗いや動作点検などをしてもらうと長期に渡って安心して使用することができます。
また、同じゼンスイ社の水槽用クーラーに「ZRシリーズ」という似たような製品があります。
「ZRシリーズ」は中国産で比較的安いことがメリットですが、静音性や冷却能力を考えると「ZCシリーズ」の方がおすすめです。
レイアウト水槽向けのヒーター内蔵水槽用クーラー
イタリアのTECO社で作っている「TKシリーズ(TK500,TK1000,TK2000)」は高性能水槽用クーラーであり、本体内に内蔵ヒーターが導入されているのが大きな特徴です。
冷却だけでなく低水温時は加温も可能で、水槽内にヒーターを入れる必要がなくなるので、目立つヒーターを置きたくないレイアウト水槽には非常におすすめです。
ただし、内蔵するヒーターは320Wと出力がそれほど高くないため、内蔵ヒーターを使用して一年中水温管理をしたいという場合は、60cmワイド水槽や90cm水槽程度までの、それほど水量が多くない水槽で使用する方が良いと思います。
また、この製品は排熱の向きを前後左右に変えることができるので、キャビネット内の通気口の向きに合わせて使用することが可能です。
また、大型ファンを使用しているためファンの回転音が小さく、対応水量の割には静音性に優れています。
ヒーターを内蔵し、一年中水温管理ができる高機能クーラーです。
対応水量は約500~600Lです。
(水温25℃、室温30℃、加熱負荷0.5W/Lの場合で対応水量400L)
対応水量はTK500、TK1000、TK2000それぞれ400L、800L、1600Lとなっています(水温25℃、周囲温度30℃の場合)。
これは加熱負荷0.5W/Lの場合を想定しているとのことなので、上で紹介した熱源の消費電力を加味した水量に換算すると、それぞれ600L(400L+200W)、1200L(800L+400W)、2400L(1600L+800W)程度となります。
ただしこれはあくまで大まかな換算ですので、ある程度スペックには余裕があるものを選ぶと良いでしょう。
また、同じくTECO社から販売されているTK150については内蔵ヒーターや排熱の向きを変える機能がないので注意が必要です。
まとめ
水槽用クーラーの種類
水槽用クーラーにはペルチェ式とチラー式(コンプレッサー)式の2種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
ペルチェ式
- 値段が安い
- クーラー本体がコンパクト
- 排熱量が小さい
- 稼働音が小さい
- 冷却能力が低い(小型水槽向き)
- 冷却能力の割に電気代が高い
チラー式
- 値段が高い
- クーラー本体が大きめ
- 排熱量が大きい
- 稼働音が大きい
- 冷却能力が高い
- 冷却能力の割に電気代が安い
水槽用クーラーのスペックを確認
水槽用クーラーは自分の水槽の環境(水量や使用機器からの熱の発生、目標設定温度)に合ったスペックのものを使用する必要があります。
スペックが足りていないと十分な冷却ができなかったり、常時稼働状態になってクーラーの寿命を縮める原因にもなりますので注意が必要です。
まずは自分の水槽や濾過槽の水量[L]を算出し、熱源となる使用機器(水中ポンプやフィルター、照明、殺菌灯など)の消費電力[W]を足し合わせて、その値と水槽用クーラーの対応水量と比較します。
目標温度が低い場合や周囲温度が高い場合は対応水量を満たしていても十分に冷却できない場合もありますので、自分の水槽の環境に合わせて余裕をもったスペックの水槽用クーラーを選ぶようにしましょう。
水槽用クーラーの循環流量や配管の径を確認しよう
水槽用クーラーを使用するためには、外部式フィルターや水中ポンプなどの別途動力源が必要になります。
また、水槽用クーラーには製品ごとに対応する循環流量が決まっているので、それに適合したフィルターやポンプを使用するようにしましょう。
推奨循環流量外の場合は冷却能力が低下したりクーラーが故障する場合もありますので注意が必要です。
また、水槽用クーラー、フィルター、水中ポンプにもそれぞれ適合する配管の径がありますので、そちらもしっかりと確認の上適切なものを購入するようにしましょう。
おすすめの水槽用クーラー
水量が少ない小型水槽であれば、コンパクトで稼働音、排熱が少ないペルチェ式の「ゼンスイ TEGARU Ⅱ」がおすすめです。加温・保温の能力も持ち合わせているので冬場はヒーターとしても機能します。
しっかりと冷却したい場合は冷却能力が高いチラー式の「ゼンスイ ZCシリーズ」がおすすめです。
小型水槽から大型水槽用まで、水量に合わせて製品を選ぶことができます。
定番の製品で使用している人も多く、修理や点検などのカスタマーサービスもしっかりしているので非常におすすめです。
レイアウト水槽などでは、ヒーター内蔵の水槽用クーラー「TECO TKシリーズ」がおすすめです。
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