水槽で魚や水草などを飼育する際には、水槽用のライト(照明)を設置することが多いです。
このページでは水槽用ライトの効果や注意点、必要性について詳細に解説します。
水槽用ライト(照明)とは
水槽用ライトとは、水槽を明るく照らすための照明器具です。
各メーカーより様々な水槽用ライト(照明)が販売されています。
水槽用のライトはLEDや蛍光灯、メタルハライド(メタハラ)などの種類があり、設置方式も水槽の縁に乗せるタイプやクリップライト、吊り下げ式など様々です。
水槽用ライト(照明)の効果
水槽用ライトには以下のように様々な効果があります。
効果①:水槽を明るく照らして観賞しやすくする
水槽は部屋の照明だけだと暗くて観賞しにくい場合があります。
特にバックスクリーンを使用している場合や上部式フィルターを使用している場合、部屋の照明が蛍光色のライトを使用している場合などでは水槽が非常に暗くなり、視認性が悪く観賞しにくいことが多いです。
水槽用ライトを設置することにより水槽内部が見えやすくなり観賞しやすくなります。
水槽用ライトを使用して水槽を照らすと、水槽内部のみでなく部屋全体の印象も変わります。
魚や水草の観賞性が向上するだけでなく、水槽自体や部屋のインテリア性も向上しますので、水槽用ライトは是非とも設置しておきたいです。
効果②:水草の育成を促す
水草は光合成を行い成長するので、水草の育成には光が必要不可欠です。
特に陽性水草をきれいに育成するためには、強い光や光合成に適した波長のスペクトルを有する光が必要な場合が多いです。
そのため、水草レイアウト水槽をしたい場合などでは、水草育成に適した水槽用ライトが必要になります。
効果③:生体の生活リズムを正常化する
魚などの生体は夜行性のものを除いて、基本的に明るい時間帯に活発に泳ぎ回って、暗くなった夜間には活動が少なくなり寝ています。
部屋の照明についても、つけたり消したりすると魚にとってはストレスになりますので注意が必要です。
水槽用ライトを決まった時間に点灯・消灯すると、生体の生活リズムを整えることができ、ストレスによる病気発生などのリスクを減らすことができます。
スマートコンセントやタイマー機能付きコンセントを使用すると、決まった時間に自動で点灯・消灯してくれるので非常におすすめです。
電気器具のスイッチを簡単に自動で「入/切」できるタイマーです。
一度のセットで繰り返し毎日、または曜日ごとに設定が可能です。
水槽のライトやCO2のコントローラにも便利に使えます。
テトラ社の「パワーLEDプレミアム シリーズ」のように、タイマー機能付きの水槽用ライトもあります。
理想の生体リズムをコントロールできるタイマー内蔵です。
安心のIPX7の防水機能付きです。
水草の育成に有効な波長を強化しています。
水槽の大きさに応じて4種類の製品から選べます。
このシリーズに似た製品に「パワーLEDライト シリーズ」がありますが、そちらはタイマー機能がない分値段も安くなっている製品であり、タイマー付きコンセントを使用しての制御もできない仕様になっているので注意が必要です。
効果④:繁殖活動に影響する場合がある
魚などの生体の種類によっては、日照時間が繁殖活動に影響する場合があります。
例えばメダカの場合は冬場は産卵せず、春から秋にかけて産卵するようになります。
日照時間は冬では短く、夏に向けて長くなる傾向があり、特に水温が一定の室内水槽では照明の点灯時間が産卵行動のトリガーになっているといわれることがあります。
水槽用ライトを使用して点灯時間を調整することにより、生体の生活リズムを整えた上で産卵を促す効果も期待できますので、繁殖にもチャレンジしたい方は水槽用ライトの設置をおすすめします。
水槽用ライト(照明)の注意点
水槽用ライトを設置するメリットは多くありますが、注意しなければならないこともあります。
注意点①:コケが発生する場合がある
水草育成用の水槽用ライトを使用すると水草は良く成長しますが、同時にコケも大量発生する場合があります。
特に水中の栄養分が多くなっている水槽ではコケが繁殖しやすいので、そのような状態になる場合は生体の数や餌の量を調整したり、照明の強さや点灯時間を調整するなどの対策が必要になります。
注意点②:電気代がかかる
水槽用のライトは電気を使用しますので当然電気代はかかります。
消費電力が数W程度の低消費電力のものもありますが、水草育成用の高性能ライトや大型水槽用のライトなどでは数十Wから100W越えのようなものもあります。
消費電力や点灯時間によって異なりますが、水槽用ライトによる電気代は月数十円~数百円程度はかかることになります。
注意点③:水温が上がる場合がある
水槽用ライトは光だけでなく熱も発生させますので、設置する照明の種類や消費電力、水面との距離などによっては水温が大きく上昇する場合があります。
そのため、水温が室温より高くなる場合があり、高水温に弱い生体を飼育する場合は夏場の水温上昇に注意が必要です。
水槽用クーラーを使用している場合においても、対応水量がギリギリのものを使用している場合は水槽用ライトやフィルター、水中ポンプなどの熱源による水温上昇により、十分に冷却できない可能性もあります。
特に高出力、高消費電力のライトを至近距離で使用する場合などは水温計で生体にとって問題のない水温になっているかを確認しながら使用するようにしましょう。
テトラ社の「デジタル水温計」は手軽に設置できて使いやすいのでおすすめです。
スタイリッシュなデザインで、見やすい液晶のデジタル水温計です。
水温センサーのみを水槽内に設置するタイプです。
マジックテープで水槽壁面に取り付けたり、スタンドを使用して水槽台に置いたりして設置が可能です。
注意点④:正しく使用しないと感電・漏電・火災の危険がある
水槽用ライトは正しく設置し、水槽内に落ちて水没したり飛沫によって濡れないようにしましょう。
防水でないライトの場合は、電源がついた状態で水没や水濡れを起こすと基盤がショートして故障してしまったり、最悪の場合は漏電や感電、火災などの事故を引き起こします。
このような事故を防ぐためには水槽にフタをつけるのが非常に有効です。
フタをつけることにより飛沫を防ぐだけでなく、水没する可能性も低くなります。
また、不安定なライトの設置の仕方になっていないか確認したり、防水機能付きのライトを使用するのも良いでしょう。
また、水槽用ライトが点灯している状態でその上に毛布をかぶせたり、ライトの放熱を妨げるようなことをすると、熱がこもってライトが故障したり火災の原因にもなります。
水槽用ライトは取扱説明書を良く確認して正しく使用しましょう。
水槽用ライトのかわりに太陽光ではダメ?
窓際に水槽を設置する場合には太陽光が入ってくるので、水槽用ライトを設置する必要はないと考える人も多いと思います。
太陽光は様々な波長の光がバランスよく含まれています。
魚などの生体は太陽光に含まれる紫外線を利用して体内でビタミンDを生成しますし、水草も成長に必要な波長の光が降り注ぐので良く成長します。
そのため、太陽光による水槽用ライトなしの飼育については一概にNGとは言えません。
ただし、太陽光での飼育にはデメリットも多いです。
太陽光で飼育する場合は水槽に入る光量が天気で左右されることや、調節が難しいという欠点があります。
太陽の光が良く当たる水槽の場合は水草も育ちますが、光量の調節ができないためコケも生えやすく、水草レイアウト水槽などでは管理が大変になるので推奨できません。
また、季節や天気にもよりますが、直射日光が水槽に入ると水温が著しく上昇する場合があるので注意が必要です。
点灯や消灯のタイミングも調節できないため、日中に家にいないような人は家に帰って観賞できる時間になったら水槽が暗いという状況になります。
水槽用ライトであれば自分の水槽の大きさや必要な光量に合ったライトを適切に選択すれば、適切な光量を好きなタイミング、時間で照射することができます。
また、太陽光には紫外線も含まれますので、紫外線に弱いアクリル水槽やプラスチック製の濾過装置などの機器は、直射日光に長期にわたってさらされるとクラックが入って壊れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
球状の水槽などのレンズ状になっている水槽の場合は、太陽光が一部に集約されて火災が発生する可能性がありますので、そういった水槽は窓際に設置するのは危険です。
太陽光のみでの飼育はできないことはないですが、安全性や管理面、光の調節の自由度を考えるのであれば、遮光カーテンなどで太陽光を遮蔽した上で、お好みの水槽用ライトを使用するのがよいでしょう。
部屋の照明だけではダメ?
基本的には魚やエビなどの生体のみの飼育であれば強い照明が必要な種類は少ないので、たいていの種類のものは部屋の照明のみでも問題なく飼育できます。
その場合は部屋の照明は決まった時間に点灯・消灯するとよいでしょう。
ただし、部屋の照明が蛍光色の弱い電球であったり間接照明しかない場合は、部屋の照明だけでは水槽がかなり暗くなり、観賞性が著しく低くなる場合があります。
明るい部屋であり、水槽が大きくなければ観賞には問題ないことも多いですが、水槽用ライトを使用した時と比較すると魚や水草などの色の見え方については劣ってしまいます。
また、バックスクリーンを貼ったり上部式フィルターを使用している水槽では、光が遮られて水槽用ライトがないとさらに水槽内が暗く見えますので注意が必要です。
水草の育成については、光量が必要な陽性水草などでは十分に光合成が行えず、徐々に衰退してしまうことが多いです。
ただし、アヌビアスやミクロソリウム、ボルビティスなどの陰性水草であれば部屋の照明だけでも問題なく育成できます。
また、陰性水草のみのレイアウト水槽の場合は部屋の照明のみで飼育するとコケが生えにくいので管理の面では非常に楽になります。
このように、部屋の照明のみでの水槽飼育は環境次第で可能ではありますが、陽性水草の育成や、魚や水草のきれいな発色を楽しみたい場合は水槽用ライトを使用したほうが良いでしょう。
まとめ
水槽用ライト(照明)の効果と注意点
水槽用ライト(照明)の効果
- 水槽を明るく照らして観賞しやすくする
- 水草の育成を促す
- 生体の生活リズムを正常化する
- 繁殖活動に影響する場合がある
水槽用ライト(照明)の注意点
- コケが発生する場合がある
- 電気代がかかる
- 水温が上がる場合がある
- 正しく使用しないと感電・漏電・火災の危険がある
太陽光や部屋の照明のみではだめ?
太陽光や部屋の照明のみでも場合によっては問題なく魚や水草を育成することができます。
太陽光の場合は魚も水草も育ちますが、光量や点灯時間の調整ができないこと、コケが出やすいこと、直射日光が当たるとアクリル水槽やプラスチック製の機器にダメージを与える可能性があること、曲面がある水槽ではレンズ効果で火災の危険があることなどに注意が必要です。
部屋の照明のみの場合においても魚や陰性水草のみであれば問題なく育成できますが、光量が必要な陽性水草は衰退する場合が多いです。
天候に左右されず好きなタイミングで照明をつけたい場合や、魚や水草のきれいな発色を楽しみたい場合は水槽用ライトを使用したほうが良いでしょう。
おすすめ記事
この記事を読んでいる方はこちらの記事もおすすめです。
関連記事のまとめ
水槽用ライト(照明)の基礎知識や選び方などに関する記事をまとめています。
新着記事