水槽で観賞魚やエビなどの生体や水草などを飼育する際には、水温の管理が非常に重要です。
そのため、水槽には水温計を設置して水温を正確に把握できるようにすることが望ましいです。
このページでは、水槽用水温計の役割や効果と必要性についてや、設置方法と注意点について詳しく解説します。
水槽用水温計とは
水槽用水温計とは、水槽内の水の温度を測定するための道具です。
水温計は、デジタル式やアナログ式のもの、水槽に貼るタイプのものなど、様々な水槽用水温計が販売されています。
各メーカーより様々な水槽用水温計が販売されています。
水槽用水温計の役割や効果
水槽に水温計を設置することには様々な意味があります。
ここでは水槽用水温計の役割や効果をまとめます。
水槽用水温計の役割① 水温を把握する
水槽に水温計を設置することにより、水温を把握することができます。
水槽で観賞魚やエビなどの生体や水草などを育成する場合は水温管理が非常に重要であり、許容値を超えた低温や高温になる場合は生体が調子を崩してしまったり、最悪の場合は死んでしまうこともあります。
そのため、水槽の水温を把握することは非常に重要です。
また、水槽内の水温はフィルターや水中ポンプ、照明などの機器から発せられる熱により室温よりも高くなる場合がありますし、機器を何も設置していない水槽の場合は水の蒸発による気化熱の効果で室温より水温が若干低下している場合もあります。
水槽の水温を把握する上で部屋の室温は参考になりますが、必ずしも水温と一致しているわけではなく、水温は見た目では判断できませんので、正しい水温を把握するためには水温計が必要になります。
水槽用水温計の役割② 水温の変化を把握する
観賞魚やエビなどの生体や水草などを育成する場合は、適切な水温の範囲で飼育するだけではなく、急な水温変化にも気を付ける必要があります。
水温が、適切に飼育できる範囲内であったとしても、急激に変化すると生体にダメージを与えてしまいます。
水槽にクーラーやヒーターなどを設置して水温が一定になるようにしていない場合は、水槽を設置している部屋の室温の変化によって水温も大きく変動する場合があります。
特に夏場や冬場は時間帯によって室温や水温の変動が激しい場合があるので注意が必要です。
日本動物薬品の「マルチ水温計 H」という製品は、水温と気温の両方を測ることができ、最高・最低の温度を記録できるようになっています。
このような製品を使用すると、水温だけでなく水温の変化にも問題が無いかどうかをチェックするのが容易になりますので非常におすすめです。
防滴機能付きのデジタル水温計です。
水温と気温を測定し、大型デジタル液晶画面に表示します。
メモリー機能搭載で、最高・最低気温と水温を記憶します。
背面フックとスタンドで、様々な場所に設置することができます。
防滴機能付きの安心設計であることもうれしいポイントです。
水温変化が大きい場合はエアコンなどで部屋の室温を一定にしたり、水槽にヒーターやクーラーを設置して水温を適切に保つなどの対策が必要になります。
また、室温変化以外で水温の急変が起きやすいのは水換えのタイミングです。
水変えの際に水槽の水と水温が異なる水を入れると水温が大きく変動します。
水換え用の水は、ヒーターなどで水槽の水温と同じにして使用するのがベストですが、これはなかなか手間がかかります。
そこまでの手間をかけられない場合は、お湯が出る水道であればお湯と水の量を調整して、だいたい水槽の水に近い温度であることを確認して使用すれば問題はありません。
この際、水温計を使用して水換え用の水と水槽内の水の温度が近いことを確認したほうが良いですが、少量ずつ水換えを行い、水槽内の水温計の温度に大きな変動がないことを確認しながら水換えを行うのであれば、多少の温度差はあまり大きな問題になることはありません。
水温を確認しながら少しずつ水を入れていき、水温が大きく変化するようであれば水温が近い水を作り直したり、少量ずつゆっくりと水を入れることによって水温の変化を緩やかにすることができます。
ただし、実際の水温が水温計に反映されるまでには若干のタイムラグがありますし、水槽の水の循環の程度によっては正確に測定できるようになるまで多少時間がかかることに注意が必要です。
このように、室温変化や水換え時の水温変化を把握するためにも水温計は非常に重要です。
水槽用水温計の役割③ ヒーターやクーラーの異常に気付きやすくする
水槽用水温計は、水槽の水温調整機器の異常を察知しやすくするためにも非常に有効です。
水槽用ヒーターの場合は、ヒーター自体が故障すると、水を温める機能が停止しますので、水温が低下していきます。
また、サーモスタットが故障すると、ヒーターが作動せずに水温が低下したり、逆にヒーターが常時作動状態になって設定温度を超えて水を温め続ける状態になります。
水槽用クーラーの場合も同様に、クーラー自体が故障すると水を冷やす機能が停止して水温が上昇し、サーモスタットが故障するとクーラーが作動しなかったり、設定温度を超えて水を冷却し続けます。
このような異常な水温の低下や上昇は水槽の見た目ではわからず、魚やエビなどの生体の異常で気づく場合が多いです。
水槽用ヒーターやクーラーなどの水温調整機器を使用する場合には、機器が正常に動作しているかどうかを確認するためにも水温計は必ず設置し、日ごろからこまめに水温に異常がないかを確認するようにしましょう。
水槽用水温計は絶対に必要?
魚やエビなどの生体や水草を飼育する上で、水温が適切であるかどうかや水温の急な変化がないかどうかは非常に重要です。
水換え時の水温の変化の監視や、特にヒーターやクーラーを使用している水槽の場合は水温調節機器に異常がないことを確認できるようにするためにも、基本的に水槽には水温計をつけておくことが望ましいです。
飼育できる水温の幅が広く、水温変化にシビアでない生体の場合は水温計を使用しなくても上手く飼育できる場合が多いですが、急な水温変化はそのような丈夫な生体でも多少なりともダメージを与えることがあるので、できれば水温計は設置して水温変化を監視できるようにしておいた方が状態良く飼育できることが多いです。
逆に、水温や水温変化の監視が必要ない場合には水温計は不要になります。
例えば24時間エアコン管理により室温が一定になっている部屋で、フィルターや専用の照明などを使用しないボトルアクアリウムを設置する場合などは、水温計がなくても問題ありません。
これはボトルアクアリウム内で発生する熱源がないため、水温は室温とほとんど同じになり、一定に保たれるからです。
水換えの際にも新しい水を用意してボトルの近くで数時間置いておけばボトル内の水温と同じになりますので、水温を気にせずに水換えが可能です。
ただし、ボトルアクアリウムでもヒーターを使用する場合やボトル付近に強めの照明を設置するなど、熱源となる機器を設置する場合には水温計を設置したほうが良いでしょう。
水槽用水温計を設置する際の注意点
水槽用水温計は正しく設置しないと正確な水温を測ることができない場合があります。
また、使用にはいくつかの注意点もありますので、こちらにまとめます。
注意点① 水槽用水温計の設置場所
水槽内の水温は完全に均一ではなく、ムラがある場合が多いです。
特にフィルターなどを設置していない水槽では水があまり循環していないので、水槽の上部になるほど温かく、下部になるほど冷たくなります。
そのため、水温計の設置場所によって水温に差が出てきてしまいます。
特に水槽用ヒーターを使用している場合などはこの傾向が顕著に出ます。
ヒーター使用する水槽では、フィルターやエアレーションを用いて水を循環させて水温がある程度均一になるようにするのが望ましいです。
このように水の循環を促しても多少の水温のムラは発生しますので、水温計は水槽上部と水槽下部には設置しないようにしたほうが良いです。
アナログ式の液体水温計であれば水温計の液がある部分が、デジタル式であればセンサー部が、水槽の底付近や水面付近にこないように設置するのが良いでしょう。
また、水草や流木の陰などの流れの滞りやすい場所では正確に水温を測定できない場合もあります。
フィルターや水中ポンプの排水口付近などの熱源の影響を受ける場所もあまりよくないですが、ある程度水の循環がある部分に設置するようにしましょう。
ヒーター付近や水槽用クーラーの排水口付近への設置も正しく水温測定ができない原因になるのでNGです。
注意点② 水槽用水温計はしっかり固定して毎回同じ場所で測定する
水温計はアナログ式の棒状のものやデジタル式のものがありますが、基本的には水槽内に固定して使用します。
水槽壁に引っ掛けて使用するものもありますが、特に吸盤で水槽壁に貼り付けるタイプが多いです。
いずれにしても、水温計は決めた場所にしっかりと固定して設置する必要があります。
毎回同じ場所や条件で測定された水温を確認することによって、水槽内で起きている水温の変化などを正しく捉えることができるようになります。
注意点③ 水槽用水温計の精度や誤差について
市販されている水槽用水温計は、基本的には出荷前に校正が行われ、製品ごとの精度の基準を満たしたものが販売されています。
例えば測定精度が±0.5~2℃程度を基準としている製品が多く販売されています。
このような基準を満たしている水温計であれば問題なく使用することができると思いますが、測定精度が記載されていない製品などはできるだけ使用しないようにしましょう。
中でも、経済産業省届出製造事業者として認可を受けているエヴァリス社の「きっちり計れる水温計 L」は測定精度が±0.5℃と非常に精度良く水温を測ることができます。
基準精度±0.5℃で、水温を正確に測定することのできる水温計です。
水量が少ない水槽でも横向きでセットすることができます。
信頼の日本製です。
また、ガラス製のアナログ式水温計などは、経年劣化によりガラスが収縮し、中に入っている白灯油などの液体がその分高く持ち上げられて、実際の水温より表示値が高くなってしまうことがあります。
デジタル式の水温計においてもセンサーの故障で表示値に異常が出たり、校正をしないと少しずつ水温の表示がずれていきます。
誤差が2℃以内程度であれば通常の飼育では大きな問題になることはありませんが、定期的に異常値を出していないかどうかを確認し、3年に1度程度で新しいものに交換すると良いでしょう。
水温をシビアに管理したい場合は、先述したエヴァリス社の「きっちり計れる水温計 L」などの精度が高い水温計を使用するようにしましょう。
また、そのような精度の高い水温計を複数使用し、比較できるようにすると水温計の異常などを確認しやすくなるのでおすすめです。
まとめ
水槽用水温計とは
水槽用水温計とは、水槽内の水の温度を測定するための道具であり、デジタル式やアナログ式のもの、水槽に貼るタイプのものなど、様々な水槽用水温計が販売されています。
水槽用水温計の役割や効果
水槽用水温計の役割や効果は以下の通りです。
水槽用水温計の役割や効果
- 水温を把握する
- 水温の変化を把握する
- ヒーターやクーラーの異常に気付きやすくする
水槽用水温計は絶対に必要?
水槽に発熱を伴う機器を設置している場合は部屋の室温と水温が一致しない場合が多く、水換えの際にも水温の変化が起きやすいので、できるだけ水槽には水温計を設置することが望ましいです。
水温や水温の変化を正確に把握できるようにしておくことで、水槽や生体の状態も把握しやすくなり、生体を状態良く飼育しやすくなります。
水槽用水温計を設置する際の注意点
槽用水温計を設置する際の注意点は以下の通りです。
槽用水温計を設置する際の注意点
- 水槽の水面や底付近に設置しないようにする
- ヒーターやクーラーの排水口付近に設置しないようにする
- 水の循環の滞りがない場所に設置する
- 水槽用水温計はしっかり固定して毎回同じ場所で測定する
- 測定精度の記載がある製品を使用し、その精度を把握しておく
- 経年劣化があるため定期的に交換する
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