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水温管理・水温測定

水槽用ヒーターの種類や正しい設置方法、選び方を徹底解説!!

水槽用ヒーターの種類や正しい設置方法、選び方を徹底解説!!

水槽で魚などを飼育する場合は、水槽用ヒーターが必要な場合があります。

特に熱帯魚の場合は、基本的に日本の冬は乗り越えられませんので水槽用ヒーターは必ず必要になります。

また、水槽用ヒーターは水槽の大きさや飼育する生体などの環境に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。

ここでは、水槽用ヒーターの種類や正しい設置方法、事故防止のための安全な使い方などの基礎知識と水槽の環境に合わせた選び方について詳しく解説していきます。




水槽用ヒーターとは

水槽用ヒーターは、電熱線などの発熱体を使用することによって水槽内の水を温めます。

水槽内に入れて使うものや、水槽の下に敷いて使うパネル型など、様々なタイプのものが販売されています。

水槽用ヒーターとは

水槽用ヒーターの目的

① 飼育に適した水温にする

熱帯魚は種類にもよりますが23℃から28℃程度で飼育することが多く、水温が低くなると著しく活性が落ち、15℃から20℃以下になると命の危機にさらされる場合があります。

そのため、日本で熱帯魚の飼育をする場合、特に冬場は水槽用ヒーターが必須になります。

水槽用ヒーターを設置することにより、飼育に適した水温を保つことが可能になります。

② 水温を一定にする

メダカや金魚などの熱帯魚ではない魚の場合は基本的に水槽用ヒーターは必要ありません。

ただし、人がいるときだけ冷房や暖房を使用している部屋で飼育する場合などは、冷暖房のオンオフで水温が急変し、飼育する魚が急な環境変化についていけずにダメージを受けてしまうことがあります。

例えば暖房オフの時の室温が13℃で、オンの時に22℃の部屋の場合、水槽の水温も同様に変化します。

特に小さい水槽の場合は水温の変化が速いので注意が必要です。

このような場合は水槽用ヒーターを使用して部屋の暖房時の室温以上にしておけば、1日中安定した水温で飼育することができ、飼育する魚への負担を減らすことが可能です。

水槽用ヒーターで部屋の暖房のオンオフ時の水温急変を防ぐ

③ 病気の予防や白点病などの治療時に使用する

飼育する魚の種類にもよりますが、低水温状態では活性や免疫が低下して病気になりやすい場合があります。

また、ヒーターで水温を一定にしておくと生体への負担が減り、病気の発生が少なくなります。

病気の治療時にも低水温より23℃から28℃程度の快適な水温の方が治癒しやすい場合もあります。

特に白点病の薬浴治療では水温が25℃以上にしておくと、病原虫が魚から離れるまでの時間が短くなり、魚の負担を減らして治癒しやすくなります。

そのため、水槽用ヒーターは病気の予防や治療時のために用意しておくと安心です。

ただし、治療時にヒーターを設置する場合には急激に水温が上がると生体への負担になるため、時間をかけて段階的に水温を上げるようにしたほうが良いです。

水槽用ヒーターとサーモスタットについて

水槽用ヒーター単体では、電熱線などの発熱部しかないため、スイッチを入れると永遠と水槽を温め続け、ワット数によっては水温が上昇し続けて熱湯になってしまいます。

そのため、ヒーターだけでなくサーモスタットなどの温度センサーを使用して水温を制御する必要があります。

下の画像はサーモスタットとヒーターを接続したものですが、温度センサーで水温を検知して、目標の温度より低い場合には通電してONにし、目標温度に達したら電流を遮断してOFFになるという仕組みになっています。

水槽用ヒーターはサーモスタットなどの温度センサーを使用して水温を制御する

例えば設定温度が26℃の場合、水温が24℃になるなど設定温度より下がった場合にヒーターのスイッチが入り、26℃になったらOFFになります。

これを繰り返すことにより、水温を設定温度付近に保つことが可能になります。

水槽用ヒーターはサーモスタットなどの温度センサーを用いて水温を制御する

水槽用ヒーターには、温度センサーが内蔵された一体型のものや、サーモスタットとつないで使用するヒーター単体のものなどがあります。

一体型の場合は、そのヒーターだけで温度調整が可能ですが、サーモスタットにつないで使用するタイプの場合は、ヒーターの他にサーモスタットの温度検出部も水槽内にセットする必要があります。

水槽用ヒーターの種類

水槽用ヒーターには様々な種類(タイプ)のものがあります。

それぞれ特徴や注意点などがありますので、よく理解した上で自分の水槽に合ったものを選びましょう。

① 温度固定式ヒーター

温度固定式ヒーターと呼ばれるタイプのものは、温度センサーとヒーターが一体となったヒーターで、設定温度が固定されているヒーターです。

オートヒーター(温度固定式ヒーター)は設定温度の調整ができないが安くてすっきりと設置できる

設定温度が決められているため温度変更の機能はなく、設定温度はメダカ用や金魚用の23℃や熱帯魚用の26℃などが多いです。

このタイプのヒーターは機能が少なく単純なので、他のタイプのヒーターよりも比較的安いというメリットがあります。

設定温度の調整はできませんが、23℃や26℃などの一定温度で良ければ全く問題なく使用できます。

別にサーモスタットなどを取り付ける必要もなく、設置も楽ですっきりと取り付けることができます。

設定温度が低い23℃の方が電気代は安くなりますが、白点病が発生した際の治療では25℃以上にしたい場合もありますので、そういった場合に備えるのであれば26℃固定のタイプにしておくのが無難です。

温度固定式ヒーターのメリット

  • 他のタイプのヒーターと比較して安価なことが多い
  • サーモスタットの設置が必要なく取り扱いが楽で水槽内がスッキリする

温度固定式ヒーターのデメリット

  • 設定温度が固定であり、温度調整はできない

温度固定式ヒーター
各メーカーより様々な温度固定式ヒーターが販売されています。

② 温度可変式ヒーター・一体型ヒーター

温度可変式ヒーターや一体型ヒーターと呼ばれるタイプのものは、ヒーターとサーモスタットが一体になっており、設定温度が可変で好きな温度に調整が可能なヒーターです。

温度可変式ヒーター(一体型ヒーター)は設定温度の調整が可能で水槽内にすっきりと設置できる

水温低め(20℃程度)から水温高め(30℃台程度)までであれば設定可能なことが多く、飼育する魚の種類に応じて幅広く使用できるヒーターです。

また、このタイプのヒーターも温度固定式ヒーターと同様にサーモスタットなどを取り付ける必要がないので設置も楽であり、すっきりと取り付けることができます。

ただし、温度調整機能付きなので値段が高めな傾向があり、一体型ですのでヒーターとサーモスタットのどちらか一方でも故障した場合には全体を買い換える必要があります。

温度可変式ヒーター・一体型ヒーターのメリット

  • 設定温度の変更が可能
  • サーモスタットの設置が必要なく取り扱いが楽で水槽内がスッキリする

温度可変式ヒーター・一体型ヒーターのデメリット

  • 値段が高め
  • ヒーターとサーモスタットのどちらか一方でも故障した場合は全体を買い換える必要がある。

温度可変式ヒーター・一体型ヒーターの中でもエヴァリス社製の「ダイヤルブリッジ」シリーズは、コンパクトで温度調整コントローラーもスタイリッシュで扱いやすく、耐久性も非常に高い印象があり非常におすすめです。

温度可変式ヒーター・一体型ヒーターの中でもエヴァリス社製の「ダイヤルブリッジ」シリーズが特におすすめ.jpg

エヴァリス オートヒーター ダイヤルブリッジ
温度コントローラー(サーモスタット)とヒーターが一体型の観賞魚用保温器具です。
水槽の大きさに合わせて様々なパワーの製品から選べます。

③ ヒーターとサーモスタットが別々の分離型ヒーター

分離型ヒーターは、ヒーターとサーモスタットが別々に売られているタイプのヒーターです。

ヒーターとサーモスタットが別々の分離型ヒーター

このタイプのヒーターはサーモスタットを使用するので、一体型のヒーターと同様に設定温度の変更が可能です。

サーモスタットの水温センサーの場所は自由に決めることができるのもメリットです。

また、必ずサーモスタットとセットで購入する必要がありますが、ヒーターとサーモスタットを切り離すことができるので、どちらかが故障した場合は壊れた方だけを交換することが可能です。

通常ヒーターはサーモスタットよりも寿命が短いので、ヒーターだけ早めに交換するなど、経済的に使用することができます。

ただし、このタイプのヒーターは、ヒーター本体の他にサーモスタットのセンサーも水槽内に取り付ける必要があります。

水槽内や水槽外にケーブルが増えますので、見た目をすっきりとさせたい場合は温度可変式のヒーターにしたほうが良いと思います。

また、センサー部が何かの拍子で水槽外に出てしまったりすると、水槽内をいくら温めてもセンサー部の温度は低いままになるので、永遠に水槽を温め続けます。

そうすると水温が異常に高くなり、生体全滅の危険もありますので、サーモスタットの温度センサーは何があっても水中から出ないように事前に考えて設置する必要があります。

ヒーターとサーモスタットが別々の分離型ヒーターのメリット

  • 水温センサーの場所を自由に決めることができる
  • ヒーターとサーモスタットを別々に交換することができる

ヒーターとサーモスタットが別々の分離型ヒーターのデメリット

  • ヒーターの他にサーモスタットの設置が必要で水槽内や水槽外にケーブルが増える
  • サーモスタットのセンサー部が水中から出てしまうと水温が異常に上昇する事故につながる

ヒーターとサーモスタットが別々に売られている分離型のヒーターでは特に、デザインが黒くて目立ちにくく、非常にしっかりと作られているニッソー社の「プロテクトヒーター」シリーズがおすすめです。

ニッソー プロテクトヒーター  シリーズ
鑑賞魚用のヒーターです。サーモスタット(別売)と接続して使用します。
水槽の大きさに合わせて様々なパワーの製品から選べます。

ヒーターとサーモスタットのセットで販売されている製品もあります。

特にニッソー社の「プロテクトプラス」シリーズはセットで入っているヒーターとサーモスタット、温度センサーを設置するだけなので非常に簡単に設置できます。

しっかりと作られている製品なので非常におすすめです。

ヒーターとサーモスタットがセットになったニッソー社の「プロテクトプラス」シリーズ

ニッソー プロテクトプラス シリーズ
温度を制御するためのサーモスタットと空焚き防止機能付ヒーターをセットにした観賞魚用保温器具です。
水槽の大きさに合わせて様々なパワーの製品から選べます。

また、サーモスタットは製品によって対応できるW数の範囲が異なります。

大型水槽などで1000Wなどのハイパワーの製品を使用する場合は、それに対応したサーモスタットが必要です。

ニッソー社の「シーパレックス V-1000」であれば1000Wまでのヒーターに対応しています。

同じくニッソー社の1000Wのヒーターである、「プロテクトヒーターストロングセーフ1000」とセットになった以下のような製品も販売されていますので、大型水槽用のヒーターとしては非常におすすめです。

ニッソー プロテクトヒーターストロングセーフ1000+シーパレックスV-1000
観賞魚用 各社共通の交換用ヒーターとサーモスタットのセットです。
シーパレックスV-1000は、充実の異常警報機能、水温異常・センサー異常を知らせる高性能サーモスタットです。

④ パネルヒーター

パネルヒーターは、水槽の下に敷いて水槽を温めるタイプのヒーターです。

水槽の下に敷いて使用するパネルヒーター

超小型水槽やボトルアクアリウムなど、水槽内にヒーターを設置しにくい水槽でもすっきりと設置できるのが大きなメリットです。

水槽の下に敷くだけなので設置は非常に簡単です。

アクアリウム専用のパネルヒーターはハイパワーな製品が少ないですが、小型水槽やボトルアクアリウムであれば冬場を乗り切る程度のスペックはあります。

ただし、パネルヒーターはパネルの表面温度で制御している製品が多く、実際の水槽内の水温を感知して調整しているわけではないため、水温調整が少し難しいです。

外気温が極端に低い場合では十分に水温が温まらない場合もありますし、逆に温度が上昇しすぎる場合もあります。

特に、アクアリウム用以外の小動物や爬虫類用のパネルヒーターを使用する場合はハイパワーな製品もあるため、水温が上昇しすぎる場合があります。

このような製品の場合はちょうどよい水温にするために、パネルと水槽の間に何か物をはさんだりするなどして調整が必要です。

パネルヒーターのメリット

  • 小さな水槽にもすっきりと設置できる

パネルヒーターのデメリット

  • 大きな水槽や水量が多い水槽ではパワー不足
  • 水温調整が難しい

小型水槽やボトルアクアリウムでベタや小型熱帯魚を飼育したい場合には水作の「アクアパネルヒーター」がおすすめです。

水作 アクアパネルヒーター 12W
小さな飼育容器で飼育するベタや小型水棲生物の保温に適しています。

パネルヒーターは上手く調整すれば手軽に使用することが可能ですが、心配であればアクアリウム専用のパネルヒーターを使用するようにし、能力不足や温度調整の難しさを感じるようであれば通常の水槽用ヒーターにしたほうが良いと思います。

水槽用ヒーターは正しく設置しよう

水槽用ヒーターは正しく設置しないと十分な効果が得られない場合があり、事故の原因にもなります。

お使いの水槽用ヒーターの取扱説明書をよく読み、正しく設置するようにしましょう。

ここでは水槽内に設置する一般的な水槽用ヒーターの設置方法について解説します。

水槽用ヒーターを設置する場所

水槽用ヒーターは、キスゴムがついており、水槽壁面にくっつけることができる製品が多いです。

水槽用ヒーターには吸盤がついていることが多く、水槽壁面に取り付けることができる

そのため、水槽の背面下部などの目立たない位置にくっつけて使用することが多いです。

流木などを設置すれば目立ちにくくなりますし、水草が育っていくと隠れて見えにくくなります。

ヒーターを水槽背面下部に設置して水草や流木で隠す

水槽用ヒーター周辺には空間を確保

ヒーターの周りに水草などの障害物が多い場合は、ヒーターの熱がうまく水槽全体に拡散せず、水槽全体が上手く温まらない場合があるだけでなく、熱がこもってしまう場合はヒーターの故障の原因にもなりますので注意が必要です。

ヒーターの周りは少し空間を開けておき、水槽内の水の循環を妨げないようにしておく必要があります。

また、フィルターやエアレーションで水槽全体の緩やかな水流があると温度ムラが少なく、ヒーターが良好に機能します。

水槽用ヒーターはエアレーションやフィルターを組み合わせて使用すると水の循環や温度の均一化を促進できる

水槽用ヒーターは水槽の下部に設置しよう

水槽用ヒーターは水の蒸発等で水上に出てしまうと効果がなくなってしまいますし、ヒーターの故障や事故の原因にもなります。

そのため、水の蒸発や水換えでもヒーターが空気中に露出しにくいように、水槽の半分より下の高さに設置したほうが良いと思います。

また、温められた水は下から上に向かって流れる性質がありますので、水槽用ヒーターは下部に設置したほうが水の循環や温度ムラの解消の面でも良いと考えられます。

水槽用ヒーターは下部に設置したほうが水の循環や温度ムラの解消の面でも良い

サーモスタットの水温センサーも正しく設置しよう

本体・サーモスタット分離型の水槽用ヒーターの場合は、ヒーター本体の他にサーモスタットの水温センサーも水槽内に設置する必要があります。

サーモスタットの水温センサーが水面付近やヒーターの直上など、温度が不安定な場所にある場合には水槽内の水温を上手く制御することが困難になります。

また、水温センサーが空気中に出てしまうと、水槽内をいくら温めても正しく水温を検知できず、水温が異常に上昇する事故が起きます。

そのため、水温センサーは水の蒸発や水換え時にも空気中に露出しないように、水槽の半分の高さ位の場所で、水の流れを妨げるものがないような場所に設置すると、水温の正確な測定や制御ができるようになります。

サーモスタットの温度センサーは水槽の半分くらいの高さで水の流れを遮るものがない場所に設置する

サーモスタットの温度センサーの露出による事故は良く耳にしますので、水槽の裏などの見えない場所でテープで止めておくなど、徹底的に対策をしておいた方が良いです。

ケーブルを多少引っ張っても水中から出ないように想定して取り付けましょう。

水槽用ヒーターの縦置きはOK?

水槽用ヒーターは横置きで設置することが多いですが、縦置きで設置する場合もあります。

水槽用ヒーターは基本は横置き。縦置きしたい場合は縦置き対応の水槽用ヒーターを使用する。

ヒーターを縦に設置すると、省スペースで水槽内をすっきりとさせることができる場合があります。

しかし、水槽用ヒーターのほとんどは横置きでの設置が推奨されています。

縦置き対応でないヒーターを縦に設置してしまうと温度センサーの異常やヒーター本体の故障の原因になりますので注意が必要です。

最近では縦置きに対応したヒーターも販売されていますので、縦に設置したい場合は必ずそのようなヒーターを使用するようにしましょう。

例えばGEX社の「セーフカバー」シリーズなどがおすすめです。

GEX セーフカバー シリーズ
水槽用ヒーターの縦に設置したい場合は、縦設置に対応した製品を選ぶようにしましょう。

ただし、縦置きで使用する場合はヒーターの位置が横置きと比較して高くなる場合があるので、水の蒸発や水換えの際にはヒーターが空気中に露出しないように気を付ける必要があります。

ヒーターのワット数は水槽の大きさや水の量に合わせて選ぼう

水槽用ヒーターのワット数とは

水槽用ヒーターのW(ワット)数は、ヒーターの消費電力の大きさを表します。

W(ワット)は1秒あたりに1J(ジュール)のエネルギーを生じさせる電力の単位です。

例えば100Wであれば1秒間に100Jのエネルギーを発生させるということになります。

また、水1g(=1mL)の温度を1℃あげるのに必要なエネルギーは1cal(カロリー)であり、1cal=4.2Jです。

つまり、水量30L(=30000mL)の水槽の場合に100Wのヒーターを使用した場合、1秒当たりの水温の上昇は100W÷(30000mL×4.2J)≒0.000794℃となります。

これだけ見ると全然水温が上昇しないように感じますが、1分当りでは60倍の0.048℃、1時間当たりではさらに60倍の2.86℃となります。

この時、同じ水槽でパワーが3倍である300Wのヒーターを使用した場合は、温度の上昇率がこれの3倍になり、1時間で8.57℃上昇することになります。

このように、水量が少ない水槽でワット数の高いヒーターを使用すると、ヒーターのスイッチが入ったタイミングで水温が急激に設定温度まで上昇することになり、生体には負担がかかってしまいます。

また、水槽の大きさに対してワット数が少なすぎるヒーターを使用すると、特に室温が低い場合にはヒーターの水槽を温める力よりも部屋の寒さによる水温の低下の方が上回ってしまい、全く水温が上がらない場合があるので注意が必要です。

水槽をしっかりと温めることができ、かつ急激な温度変化が起きないようなW数のヒーターを選ぶ必要があります。

 

水槽の大きさ別のヒーターのワット数の目安

水槽の大きさや水の量と適正なW数の目安は以下の表を参考にすると良いでしょう。

水槽の種類 水の量 [ℓ] 適切なヒーターの
W(ワット)数
ボトルアクアリウム 2~3 10
20cmキューブ 8 20~50
25cmキューブ 15 50
30cm規格 12 50
30cmワイド 17 50
30cmキューブ 27 100
45cm規格 32 100
45cmワイド 40 150
45cmキューブ 91 200
60cm規格 64 150
60cmワイド 121 200~300
60cmキューブ 216 600
90cm規格 182 400
120cm規格 243 600
180cm規格 648 1200

上の表は大体の目安であり、外気温などの水槽周りの環境によっては状況が変わる可能性があります。

また、明らかなパワー不足のヒーターでなければ機能はしますので、多少であればオーバースペックのヒーターを使用していても大きな問題になることはありません。

ただし、その場合は設定温度を大きく上げる際などの温度変化も大きくなりますので、設定温度を段階的に上げていくなどの調整をしたほうが良いと思います。

水槽内に複数のヒーターを設置するのもおすすめ

大型水槽ではハイパワーなヒーターが必要になることがあります。

このような場合は1000Wなどのヒーターを1つだけ設置するなどしても良いのですが、例えば500Wのヒーターを2つにしたり、300Wのヒーターを3つや4つにしたりしても良いです。

ヒーターが一か所で発熱するよりも水槽内で分散して発熱したほうが水温のムラが生じにくく、ヒーターが故障した際のリスク分散にもなります。

複数の場合は1台が故障しても他のヒーターがある程度温めてくれますし、複数あるうちの1台のサーモスタットが故障して常時通電してしまったとしても水量に対してのワット数が少ないので、水温の上昇は緩やかになります。

下の画像は60cmワイド水槽で150Wの水槽用ヒーター2台を使用している例です。

一つの水槽に水槽用ヒーターを2つ設置して温度ムラの解消と事故リスクの軽減を図る

このように、大型水槽以外の中型水槽においても、水槽用ヒーター複数設置による温度ムラの解消や事故リスクの軽減の効果は期待できます。

ただし、ヒーターを複数用意するコストがかかりますし、故障時のダメージは軽くなる場合がありますが、ヒーターがたくさんあるとそのうちのどれかが故障する確率はその台数分高くなります。

ヒーターを複数設置するかどうかは、自分の水槽の大きさなどの環境や熱源分散のメリット、コストや事故リスクなどを総合的に考えて決定するようにしましょう。

特に、大きな水槽をヒーター1台だけで管理する場合は、ケーブルも1台分で良いので水槽内外がすっきりしますが、水温のムラを解消するためにフィルターやエアレーションでしっかりと水流の確保をしたほうが良いと思われます。

水槽用ヒーターのカバーは必要?

水槽用ヒーターカバーとは

水槽用ヒーターのカバーは一般的にヒーターの発熱体の周りを隙間の空いた樹脂などで覆う構造になっています。

水槽用ヒーターカバーで魚や貝などのやけどを防止

これにより生体がヒーターに直接触れることがなくなるので、魚などのやけどの防止をすることができます。

特に貝などの動きが遅い生体の場合は、長時間ヒーターに直接触れているとやけどの恐れがありますので、ヒーター用カバーを使用しておくと安心です。

水槽用ヒーターカバーの必要性

一般的な魚やエビであれば、ヒーターカバーがなくても熱いと感じたら逃げますので、なくても大きな問題になることは少ないです。

ヒーター用カバーを付けておけば、より安全であるという認識で良いでしょう。

ただし、ヒーターカバーの隙間に小さなエビや魚の稚魚などが入り込むことがあります。

この場合においても大体は熱くなったら逃げますが、稀にヒーターの熱にやられてしまう場合もあります。

また、ヒーターカバーの隙間に挟まってしまうような大きさの魚がいる場合には、挟まって抜けられなくなったりする場合もありますので注意が必要です。

そこまで気にするほどではないと思いますが、小さいエビや魚の稚魚を心配して確実に事故を防ぎたいのであれば、ヒーターカバーは使用しないほうが良いでしょう。

最近ではヒーターカバー付きのヒーターが多く販売されていますので、上記のような特別な理由がなければ、基本的にそのままヒーターカバーがついた状態で使用するのが良いと思います。

水槽用ヒーターによる事故や故障を防止するために

SHマークかSPマークがついている水槽用ヒーターを選ぼう

昔は水槽用ヒーターの空焚き事故により、紙類などに延焼して火災が起きたりしていました。

そのため、2012年にメーカー団体が自主的に「観賞魚用ヒーター安全対策協議会」を作り、独自の基準を設定し、基準を満たすものにはSHマーク(Safety Heaterマーク)がつくようになりました。

SHマークの付いた水槽用ヒーターは空気中でも400℃を超えず火災の防止ができる

SHマークの付いた水槽用ヒーターは、通電時においても空気中で400℃を超えないように作られています。

紙の自然発火点が450℃程度なので火災が起きにくくなっています。

その後、2015年に観賞魚用ヒーター安全対策協議会は一般社団法人日本ペット用品工業会と合併して、SHマークは観賞魚のみならず幅広いペットの安全基準の内の一つであるSPマーク(Safety Petsマーク)に変わりました。

SPマークの付いた水槽用ヒーターは空気中でも400℃を超えず火災の防止ができる

今販売されている水槽用ヒーターはSHマークかSPマークのどちらかがついている製品がほとんどだと思いますが、昔購入した古いヒーターを使用する場合などには安全基準を満たしていないヒーターである可能性があると思いますので良く確認してから使用するようにしましょう。

水槽用ヒーターの空焚きはNG

水槽用ヒーターが通電している状態で空気中に出てしまい、空焚きしてしまうとヒーターの表面温度が上昇して事故や火災の原因にもなりますので注意が必要です。

ヒーターは必ず水中に入れてから電源を入れるようにし、水中から出す際には電源を切ってから熱が冷めるまで待って取り出すようにしましょう。

万が一空焚きをしてしまった場合は、ほとんどのヒーターは安全機能がついており、すぐさま温度ヒューズが切断され、表面温度が400℃を超えないように作られています。

この温度ヒューズが切断されるとヒーターの再使用はできなくなりますので、一度でも空焚きをしてしまうと再使用はできなくなります。

温度ヒューズを切断する前に温度センサーで電源をオフにする2段階の安全システムがついているヒーターの場合は、空焚きしてから早い段階では再使用も可能な場合があります。

その場合はヒーターカバーが溶けていないか、ヒーター本体に異常がないかをよく確認し、動作確認をして問題がなければ再使用可能ですが、基本的には買い替えたほうが良いと思われます。

水槽用ヒーターを底砂に埋めるのはNG

水槽用ヒーターを底砂内に埋めて使用すると熱が上手く水中に伝わらない場合があります。

そのため、サーモスタット一体型のヒーターでは砂の中のヒーター周辺のみが温まり、水温が十分に上がらない可能性があります。

サーモスタット分離型のヒーターで温度センサーが水中にある場合は、水中が設定温度に達するまでスイッチが入り続けるので、砂の中が非常に高温になり危険ですし、熱の逃げ場がないのでヒーター本体が破損する場合があります。

水槽用ヒーターは吸盤で壁に貼り付けるなどして浮かせて使用するのが最も効率良く水を温めることができ安全に使用できます。

水槽用ヒーターは水温計とセットで導入しよう

水槽用ヒーターを使用する場合は、水温が室温と大きく変わることが多く、水槽の見た目だけでは水温が分かりません。

水槽の状態を正確に把握するだけでなく、ヒーターの故障などを早急に検知できるようにするためにも、水温計を設置しておき、水槽を観察する際には水温のチェックもするようにしましょう。

特に、ヒーターの初回の導入時は室温と設定温度に大きな差がある場合には水温変化が非常に大きくなる場合がありますので、水温計で確認しながら温度を調整したり、ヒーターに異常がないかどうかをしっかりと確認する必要があります。

テトラ社の「デジタル水温計」は手軽に設置できて使いやすいのでおすすめです。

水温測定にはテトラの「デジタル水温計」が手軽に設置できて使いやすいのでおすすめ

テトラ デジタル水温計
スタイリッシュなデザインで、見やすい液晶のデジタル水温計です。
水温センサーのみを水槽内に設置するタイプです。
マジックテープで水槽壁面に取り付けたり、スタンドを使用して水槽台に置いたりして設置が可能です。

水槽用ヒーターは消耗品

水槽用ヒーターの寿命

水槽用ヒーターの発熱部には電熱線などが使用されていますので、熱し続けると劣化していき、最終的には壊れてしまいます。

どのくらいの間使用できるかどうかは、使用する環境によって異なります。

外気温が著しく低い場合や水量に対してヒーターのワット数が足りていない場合はヒーターのスイッチがオンになっている時間が長くなるため、電熱線の消耗が激しく、寿命は短くなります。

水槽用ヒーターは定期的に交換する必要がありますが、多くのメーカーは1年に一度交換することを推奨しています。

これは、1年間であればよほど酷い環境でない限り問題なく使用できるということです。

実際には3年以上使用しても問題ない場合もありますが、熱帯魚を飼育している場合に冬にヒーターが故障すると生体全滅の可能性もあり、長期使用はリスクが非常に大きくなりますので、メーカーの推奨通りに1年に一度交換するのが理想です。

中にはヒーターのお買い上げ日から2年間保証するとしている商品もあります。

こういった製品はメーカーが耐久に自信を持っている製品ということですので、1年以上使用する予定があるのであればそういった製品を選ぶと良いと思います。

水槽用ヒーターを固定する吸盤も劣化する

水槽用ヒーターは吸盤で壁にくっつけて使用することが多いと思いますが、そのための吸盤も時間経過で劣化します。

吸盤が硬くなると剥がれやすくなり、水槽用ヒーターが外れてしまいます。

水槽用ヒーターを固定する吸盤も劣化するので交換が必要

水中で使用している吸盤も寿命は1年~2年程度ですので、ヒーターを定期的に買い換えていれば大丈夫だと思いますが、吸着力がなくなってしまった場合は交換品を購入する必要があります。

サーモスタットの寿命

サーモスタットは、発熱体があるヒーター本体よりは壊れにくいため、寿命は3~5年程度と長いです。

10年以上使用していても問題ない場合もありますが、サーモスタットが故障した際のリスクは非常に大きいため、やはり3年に一度は新しいものに交換するのが理想です。

まとめ

水槽用ヒーターの概要

水槽用ヒーターは、電熱線などの発熱体を使用することによって水槽内の水を温めます。

サーモスタットを併用することにより水温を生体飼育に適した温度にしたり、水温を一定に保つことが可能になります。

水槽用ヒーターの種類

水槽用ヒーターには、設定温度が変更できない温度固定式ヒーターや、サーモスタット内蔵で設定温度の変更が可能な温度可変式ヒーター・一体型ヒーター、ヒーター単体の分離型ヒーターがあります。

超小型水槽やボトルアクアリウムにはパネルヒーターも使用されます。

水槽用ヒーターの正しい設置方法

水槽用ヒーターは吸盤などで水槽背面下部に設置すると、ヒーターを水草や流木などで隠すことができ、水の蒸発や水換え時の空気中への露出事故も起こりにくく、水の循環の観点からも良いです。

その際、ヒーター周りはある程度スペースを空け、縦置きする場合には縦置き対応のヒーターを使用しましょう。

サーモスタットの温度センサーは水の流れがある程度ある場所で、水槽の半分程度の高さに設置しましょう。

水槽用ヒーターと同様に蒸発や水換え時に露出しないようにし、ケーブルが引っ張られても水中から出ないように固定しておくと良いです。

水槽用ヒーターのワット数について

水槽用ヒーターは、使用する水槽の水量や飼育する魚の種類に合わせて適切なワット数のものを使用しましょう。

ワット数が少なすぎると十分に温まらない場合があり、ヒーターの通電時間も長く、寿命が短くなります。

ワット数が大きすぎるとヒーター稼働時の水温変化が大きくなることに注意が必要です。

水槽内の水温のムラの解消やヒーターによる事故のリスク回避のために、ワット数の少ないヒーターを複数設置するのもおすすめです。

水槽用ヒーターを安全に使用するために

水槽用ヒーターは火災事故を防ぐための安全基準を満たしたSHマークやSPマークの付いた製品を選ぶのが良いです。

砂の中に埋めて使用したり、空焚きはしないように十分気を付けましょう。

また、ヒーター使用中は水温計を使用して水温の異常の有無を日常的にチェックしましょう。

ヒーターカバーを使用すると生体のやけどを防止することができますが、稚魚や小さいエビがヒーターとカバーの間に挟まることがありますので注意が必要です。

故障による生体全滅のリスクもありますので、可能であれば水槽用ヒーターは1年に一度、サーモスタットは3年に一度交換するのが望ましいです。

それ以上使用する場は特に、日常的な動作チェックが必要です。




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水槽用冷却ファンのメリットやデメリットと逆サーモも含めたおすすめ製品を紹介!!アクアリウムにおける夏場の高水温対策には、エアコンや水槽用クーラー、冷却ファンなどを使用する方法があります。このページでは、水槽用冷却ファンによる水槽の高水温対策のメリットやデメリットについて詳しく解説し、逆サーモスタットを含めたおすすめの製品についても紹介していきます。...
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水槽用水温計の種類と特徴を徹底解説!!選び方やおすすめも紹介!!アクアリウムにおける水槽での生体飼育では水温の管理が非常に重要であり、水槽用水温計を設置することが望ましいです。このページでは、水槽用水温計の種類や特徴について詳しく解説し、選び方やおすすめも紹介します。...

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粘膜保護剤は魚の病気予防に有効?効果やデメリット・おすすめを徹底解説!!アクアリウムで魚などを飼育する際に水槽に添加するものとしては、塩素中和剤(カルキ抜き)や粘膜保護剤、水質調整剤など様々なものがあります。このページでは粘膜保護剤のメリットとデメリットについて詳しく解説し、おすすめの製品も紹介します。...
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