メダカは古くから日本の小川や池などに生息している魚であり、日本人にはなじみが深い魚であるといえます。
小さくて可愛らしい姿や飼育の簡単さなどからアクアリウム界の中でも群を抜くような人気があります。
メダカを飼育する際には、まずはメダカがどのような魚なのかを知っておくことが大切です。
このページでは、メダカの形態や生態、習性など、メダカ飼育にも役立つ情報を詳しく解説しますので、これからメダカの飼育を始める方や、すでに飼育している方にも参考にしていただければと思います。
メダカとは
メダカとは、ダツ目メダカ科メダカ属(学名:Oryzias)に分類される淡水魚の総称です。
呼び方や分類には異論も多くあるものの、一般的にメダカというのは、日本に古くから存在するミナミメダカ(学名:Oryzias latipes)やキタノメダカ(学名:Oryzias sakaizumii)だけではなく、ミナミメダカの品種改良によって生まれたヒメダカやその他の観賞用メダカなども含む総称ということになります。
メダカは飼育のしやすさや観賞性の高さから観賞魚として非常に人気の魚であり、品種改良も進んでいます。
最近でも体色や体型、ヒレの形などに特長を持った改良品種が増え続けており、現在では500種類以上になっています。
自分好みのメダカを選ぶことができることやコレクション性の高さもメダカ人気を後押ししています。
様々な種類のメダカが販売されています。
メダカの形態
ここでは、メダカの形態(体の特徴など)について詳しく解説します。
メダカの大きさ
メダカは全長3.5cm~4cm程度の魚です。
一般的にオスよりもメスのほうがやや大きい傾向がありますが大きくは変わりません。
日本で一番小さい淡水魚ともいわれており、大きくならないため飼いやすいこともメダカ飼育が人気である要因になっています。
ボトルアクアリウムやプラケースなどの超小型水槽などでも飼育できるので非常に手軽に飼育環境を用意できるのも大きな魅力です。
メダカの体の特徴
メダカは下の図のような姿をしています。
特徴的なのは目が大きく比較的高い位置にあることです。
このことからメダカ(目高)と呼ばれています。
また、小さい背ビレが後方(尾側)に位置することや、尻ビレが体軸方向に長いことなども大きな特徴です。
メダカのオスとメスの見分け方
メダカのオスとメスを見分ける際は、まずは尻ビレの形に着目すると良いでしょう。
オスは尻ビレが長く平行四辺形のような形をしていますが、メスは尻ビレが後方(尾側)になるほど短くなります。
これだけで大体は判別が可能です。
もう一つのオスとメスの違いは背ビレの切込みの有無です。
一般的に、オスは背ビレに切込み(欠損)が見られますが、メスには切込みがみられません。
ただし、オスであっても切込みが観察しにくい場合や、メスでも物理的に欠損している場合もあるため、尻ビレの形で判別したほうが分かりやすい場合が多いです。
その他のオスとメスの特徴として、オスよりメスのほうが体が大きくおなかがふっくらとしていることや、オスは繁殖期に婚姻色が出る場合があることなどがあります。
これについてもメダカの成熟具合や時期、種類によってはわかりづらく、これだけで判断するのは難しい場合もありますので、やはり尻ビレの形で判別するのが一番簡単で確実であると言えます。
メダカの生態
ここでは、メダカの生態について詳しく解説します。
メダカの生息する場所
野生のメダカが生息している場所や環境を知ることは、メダカを飼育する際にも非常に参考になります。
メダカがよくみられる場所は、小さな池や沼、流れの強くない小川や田んぼの用水路などです。
下の画像は私の昔住んでいた家の近くの田んぼの用水路ですが、メダカなどの様々な生き物を観察することができます。
メダカは大きな池や湖などにはいないことが多いです。
これは、メダカは小さい魚ですので、大きな魚が多く生息している場所では捕食されてしまうからです。
また、泳ぐ力もそれほど強くはないため、流れの早い川などでは流されてしまい生きていけません。
実際に飼育する際にも、メダカを口に入れることができるような大きな魚との混泳は不可能ですし、フィルターなどで水槽全体の水流が強くなっている場合は弱ってしまうので注意が必要です。
メダカの食性
野生のメダカは、主にミジンコやゾウリムシなどの動物性プランクトンや、ボウフラ(蚊の幼虫)や赤虫(ユスリカの幼虫)などの小さな虫、小さいエビ類などを食べています。
メダカ鉢やビオトープなどの屋外飼育の場合は、自然環境下と同様に発生する微生物や虫なども食べます。
ボウフラも積極的に食べますので、ビオトープなどでメダカを入れておくと蚊の発生を抑えてくれます。
飼育環境下でプランクトンや虫などが少ない環境の場合にはメダカ用の餌も必要になります。
特に屋内での水槽飼育ではほとんど餌となる生物がいないので人工飼料が必須になります。
各メーカーより様々なメダカの餌が販売されています。
メダカ用の餌として販売されている人工飼料は栄養価や栄養バランスに優れたものが多いため、それだけで生涯飼育することが可能です。
自然界で食べているような餌も与えたい場合には、メダカ用の人工飼料を基本として、たまに冷凍アカムシなどの冷凍飼料を与えると良質なたんぱく質を補給できるので非常に良いです。
冷凍アカムシはキョーリンから発売されている殺菌処理済みの「クリーン赤虫シリーズ」がおすすめです。
赤虫にビタミン複合体をタップリ取り込ませたバイオカプセルフードです。
スリーステップ殺菌方式で赤虫体内まで殺菌処理済みなので安心です。
赤虫の細胞を壊さないよう超急速冷凍しているので栄養分の流出や水の汚れが少ないです。
メダカの生息域
日本における野生のメダカは、北海道を除く全国各地で確認することができます。
野生のメダカの分類としては大きく2つに分けることができ、東北地方から近畿地方の日本海側(青森県~兵庫県)に生息するキタノメダカと、北海道を除くその他日本の各地に生息するミナミメダカがいます。
北海道においては、もともとメダカはいませんでしたが、人為的な移入によってメダカが観察されることがあります。
この生息分布から、メダカは日本の暑い夏や寒い冬にもある程度対応する魚であることが確認できます。
メダカの生息する水の温度
メダカは日本の自然環境でも生きていますので、気温が氷点下になるような冬でも氷の下で元気に泳いでいたりします。
このように、メダカはある程度の寒さには耐えられますがが、池の底まで凍る場合は死んでしまうことが多いです。
稀に氷の中からメダカが出てきて生存していることもありますが、メダカの外側のみが凍ったか、急速冷凍されるなどの特殊な状態でない限り、メダカ自体が凍ってしまった場合は細胞が壊れてしまうので復活することはありません。
北海道などの冬の寒さが非常に厳しい地域でメダカを屋外飼育する場合には、冬の間は室内で飼育してあげるなどの対策が必要になります。
また、メダカは暑さにも強く、真夏の直射日光の当たる池などでも生息していますので、40℃近い水温でも問題ないことが多いです。
ただし、水温が上昇すると水中に溶け込める酸素の量が減るため酸欠になりやすくなるので注意が必要です。
大きな池などと違ってメダカ鉢や水槽での飼育では飼育の密度が高くなりますので、より多くの酸素を消費して酸欠になる可能性が高くなります。
また、40℃付近の高水温時はバクテリアにも影響を与えてしまい、水質が悪化してしまう場合もあります。
そのため、メダカが40℃近くまで耐えられるとしても、飼育環境下では高水温による酸欠防止や水質悪化防止のために水温を下げてあげる工夫をしたほうが良いでしょう。
例えば水槽用クーラーや冷却ファンを使用したり、屋外飼育では真夏は直射日光を避けるためにすだれをかけてあげるなどの対策が非常に有効です。
どうしても水温が高くなる場合には水流が強くならない程度にエアレーションをしてあげると酸欠を防止することができます。
以上のように、メダカは低水温や高水温には強い魚であり、水槽用クーラーやヒーターを使用しなくても飼育できることが多く飼育しやすい魚ですが、急激な温度変化には弱いので注意が必要です。
クーラーやヒーターなどで水温を20~28℃程度で一定にしてあげるとより飼育がしやすくなります。
メダカの寿命
メダカの寿命は、自然環境下では1~2年程度と言われています。
自然環境下では天候によって水温などの環境の変化も大きく、常に餌を見つけられるわけではない過酷な環境ですので寿命が短めになっていると考えられます。
一方、飼育環境下では自然環境下より寿命が長くなることが多いです。
外敵のいない水槽飼育などではストレスなく餌にもありつけるので、水質や飼育密度などに気を付けていれば3~4年程度生きることも珍しくはありません。
メダカの産卵・繁殖行動
メダカは卵を産むことにより繁殖します。
メダカは生後3カ月程度で成熟し繁殖活動ができるようになると、オスとメスで並んで泳いで求愛し抱接を行います。
この抱接ではオスが背ビレやしりビレでメスを抱きかかえるように泳ぎます。
これによりメスは産卵し、オスは精子を放出することによって受精が起こります。
抱接は夜明けや朝方に行われることが多く、早朝に観察するとよくみられます。
卵を産んだメスは卵を水草などにこすりつけて付着させます。
このようなメダカの産卵行動は春から秋にかけて行われ、水温が15℃以上で日照時間が12時間以上の場合に活発になります。
1回の産卵で10~30個ほどの卵を産み、産卵のための条件がそろっていてメダカの状態が良ければ毎日、年間で数十回産卵することも珍しくありません。
飼育環境下でメダカの産卵を促したい場合には、オスとメスのペアがいる状態で水温を20℃以上にして、水槽用ライトなどで明るい時間が13時間程度になるようにしておくと産卵しやすいです。
ただし、私の飼育しているメダカは電気がついている時間が8時間程度でも産むときは産むので必ずしも長時間の日照時間が必要というわけではないようです。
また、若干の水温や水質の変化がトリガーになるともいわれております。
メダカの成長
水草などに産み付けられた卵は、受精卵である場合は数日から20日程度で孵化します。
卵が孵化するまでの日数は水温によって変化し、おおよその目安として水温×経過日数が250程度になった頃に孵化すると言われています。
メダカの卵の大きさは直径1~1.5mm程度であり、孵化したばかりのメダカは約3mm程度です。
孵化したばかりのメダカは仔魚とよばれます。
仔魚は腹ビレや背ビレ、尻ビレなどのスジである鰭条(きじょう)がまだ発生していない段階のメダカのことをいいます。
この段階ではまだ鱗(うろこ)はなく、背ビレと尻ビレが尾ビレとつながっている状態になっています。
この状態のメダカは針のように細いため、針子と呼ばれることも多いです。
また、孵化してから3日ほどはメダカのおなかが膨らんでおり、中に栄養が詰まった状態で生まれてきます。
この栄養が詰まった袋をヨークサックと呼び、別名では卵嚢(らんのう)と呼ばれています。
ヨークサックの中に詰まっている栄養は生まれてから2~3日かけて吸収されるので、それまでの間は餌を食べなくても生きていけますが、その後は自然界では小さな微生物を、飼育環境下ではパウダー状の餌などを食べられる環境でないと生きていけません。
メダカは孵化してすぐの仔魚・針子の状態から20~30日程度で1cmを超えて稚魚になります。
それから2カ月程度で2cmを超える幼魚になり、3カ月ほどで2.5cmを超えて性成熟して産卵・繁殖活動が可能に、そして4カ月を迎えるころには3cmを超えて立派な成魚になります。
メダカの性格・気性
メダカの性格は非常に温和であり、他の魚にちょっかいを出すことはほとんどないので、メダカを襲わない他の魚との混泳も可能です。
水槽飼育下でのメダカ同士ではケンカが発生することがありますが、けがをするほどの争いになることは少ないため、大きな問題になることはほとんどありません。
ただし、一方的にいじめられているメダカがいる場合には、そのメダカが隠れられる場所を用意したり、逃げられるように十分なスペースがあった方が良いです。
また、そのような場合にはいじめられているメダカがしっかりと餌を食べることができているかも確認するようにしましょう。
メダカの習性
メダカには様々な習性があります。
習性を理解しておくことはメダカを飼育していく上でも非常に重要です。
ここでは一般的に知られているいくつかの習性を紹介します。
メダカは水流に逆らって泳ぐ
メダカは水流に逆らって泳ぐ習性があります。
この習性はメダカだけではなく多くの魚が持つ習性ですが、特にメダカの場合は体が小さく泳ぐパワーも小さいため、流されないようにするという本能が強く働きます。
例えばメダカを入れたバケツの水を手や割り箸などで軽くかき混ぜると、メダカは水の流れと逆方向に一斉に泳ぎだし、流れに逆らって群れを作って泳ぎます。
また、メダカは水流がない場合においても自分が流されていると認識すれば逆方向に泳ぎだします。
メダカの入った透明な容器の外側で、白と黒の縞模様に塗られた紙や布などを回すと、水流が一切ない状態においても白黒の回転方向と同方向に泳ぎます。
これは自分の周りのものが動いていることを視覚的に認識して、自分が流されていると判断し、本能的に周りのものに置いて行かれないように泳ぎます。
このことから、水流に逆らって泳ぐというよりは、流されることに対して抵抗する習性があるというのが本来は正しいかもしれません。
メダカにとって強い水流は流されることによりストレスが生じますし、流れに抵抗するために体力も消耗します。
メダカを飼育する場合には強い水流がない環境を作ることや、メダカが安心して休めるような水流が緩やかなスペースを確保することが重要です。
自然環境下の池などでは止水領域(流れや水の循環がほとんどない領域)にいることも多いですが、水槽などでの飼育環境下で止水の環境にすると水質悪化の原因になる場合があります。
水槽飼育の場合は、池などのように大量の水があるわけではないので水質が悪化しやすいです。
そのため、フィルターなどを使用し、排水部分の水流を工夫するなどしてメダカにストレスを与えることなく水を循環させることが非常に重要です。
メダカは群れで泳ぐ
メダカは自然環境下では大きな魚やヤゴ、タガメなどの天敵が多く、常に命の危険にさらされている状態のため、群れを作って集団で泳ぐことが多いです。
そのため、メダカは1匹だけの単独飼育も可能ですが、数匹以上で飼育してあげるとより落ち着きやすくなります。
水槽などでの飼育環境下では天敵がいない場合が多く、人にも慣れてしまうことが多いので群れで泳ぐことは少なくなりますが、地震などで危険を感じた場合、特に大き目の水槽の場合には群れを作って泳ぐ姿を見ることができます。
メダカは水面付近(中~上層)を泳ぐ
メダカは目が上方についているので、水面付近の餌を探すのが得意です。
水面付近を泳ぐミジンコや水面に落ちた小さい虫などを上手に捕まえて食べます。
そのため、普段から水面付近(中~上層)を泳いでいることが多いです。
特に人に慣れて水槽の上から餌が落ちてくることを学習したメダカは水槽の上の方で泳いでいることが多くなります。
また、中~上層付近を生活圏にするため、中~下層を生活圏とする魚とは非常に相性が良いと言えます。
まとめ
メダカとは
メダカとは、ダツ目メダカ科メダカ属に分類される淡水魚の総称であり、飼育のしやすさや観賞性の高さから観賞魚として非常に人気の魚です。
体色や体型、ヒレの形などに特長を持った改良品種が増え続けており、現在では500種類以上になっています。
メダカの形態
- メダカの大きさ
- メダカの体の特徴
- メダカのオスとメスの見分け方
全長3.5~4cm程度
目が大きく比較的高い位置にあり、小さい背ビレが後方(尾側)に位置し、尻ビレが体軸方向に長い
オス:尻ビレが長く平行四辺形のような形であり、背ビレに切込みがある
メス:尻ビレが後方(尾側)になるほど短く、背ビレに切込みがない
メダカの生態
- メダカの生息する場所
- メダカの食性
- メダカの生息域
- メダカの生息する水の温度
- メダカの寿命
- メダカの産卵・繁殖行動
- メダカの成長
- メダカの性格・気性
小さな池や沼、流れの強くない小川や田んぼの用水路
→大きな魚がいたり強い水流がある場所はNG
自然環境下ではミジンコやボウフラなどのプランクトンや小さな虫を食べる
→飼育環境下ではメダカ用の人工餌でOK
北海道を除く日本の各地に生息する
キタノメダカ:東北地方から近畿地方の日本海側
ミナミメダカ:北海道を除くその他日本の各地
0~40℃程度
→メダカが凍る寒さはNG
→高水温時は酸欠や水質悪化に注意が必要
→水槽用ヒーターやクーラーの使用、屋外飼育ではすだれによる直射日光の遮断が有効
→20~28℃程度にしておくと飼育しやすい
自然環境下では1~2年程度
飼育環境下では2~4年程度
春から秋にかけて水温が15℃以上、日照時間12時間以上で繁殖行動が活発化
オスとメスで並んで泳いで求愛・抱接・産卵する
メダカの卵は数日から20日程度で孵化する
→おおよその目安として水温×経過日数が250程度になった頃に孵化
メダカの卵は直径1~1.5mm程度、孵化直後のメダカ(仔魚・針子)は約3mm程度である
3カ月ほどで2.5cmほどになり産卵・繁殖活動が可能に、4カ月程度で3cmを超えて成魚になる
メダカの性格は非常に温和であり、メダカを襲わない他の魚とは混泳も可能
メダカ同士ではケンカが発生することがある
→隠れられる場所を用意したり十分なスペースがある飼育環境が望ましい
メダカの習性
- メダカは水流に逆らって泳ぐ
- メダカは群れで泳ぐ
- メダカは水面付近(中~上層)を泳ぐ
メダカは流されないように水流に逆らって泳ぐ習性がある
メダカにとって強い水流はストレスになり、体力も消耗する
→水流が緩やかな環境作りが望ましいが、完全止水の場合は酸欠や水質悪化に注意が必要
メダカは自然環境下では天敵が多いため群れで泳ぐことが多い。
飼育環境下では慣れてしまい群れを作らなくなることが多いが、複数飼育の方が落ち着きやすくなる場合がある
メダカは目が上方についているので、水面付近の餌を探すために中~上層付近を泳いでいることが多い。
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メダカの生態や種類、飼育方法や混泳、病気対策に関する記事をまとめています。
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