アクアリウムで使用するフィルターや濾過装置には、通常「ろ材」と呼ばれるものを入れて使用します。
ろ材には様々な種類がありますが、水槽内の水をしっかりと濾過して水質を安定させるためには、ろ材の選択が非常に重要になります。
ここではアクアリウムにおけるろ材のひとつである、スポンジの特徴や使い方などについて詳細に解説します。
ろ材としてのスポンジとは
アクアリウムにおいては、スポンジもろ材として使用することがあります。
飼育水をスポンジを通して循環させることにより水中のごみをキャッチして、しっかりと物理濾過を行うことができます。
物理濾過や生物濾過、化学濾過(吸着濾過)などの濾過の種類については以下の記事でまとめていますのでそちらもご覧ください。
ろ材としてのスポンジの特徴
ろ材としてのスポンジの特徴は以下の通りです。
特徴① 物理濾過能力に優れる
スポンジをフィルターや濾過装置に入れて使用すると、水中のごみをしっかりとキャッチしてくれます。
多孔質ろ材などの生物濾過用のろ材が目詰まりしないように、前段階としてスポンジである程度のごみを取り除くなどの用途にも使われています。
特徴② 大きさや形状などの加工が簡単
スポンジはハサミで簡単に切って加工することができるので、様々なフィルターや濾過装置などに応用することが可能です。
下の製品は上部式フィルター用のスポンジマットですが、好きな大きさにカットして外部式フィルターや外掛け式フィルター、投げ込み式フィルターに使用するなど、様々なフィルターや濾過装置に応用できます。
60cmの上部式フィルターに最適な粗目のマット(幅12×長さ37×厚み2cm)です。
濾過槽に入らない場合は適当なサイズにカットしてご使用いただけます。
特徴③ 生物濾過能力もある
スポンジの繊維にもある程度のバクテリアは定着しますので、生物濾過も行うことができます。
スポンジフィルターの場合は、ろ材であるスポンジの体積が小さいとバクテリアの数も多くはないですが、小さい水槽で少数飼育であれば単体での使用でも物理濾過と生物濾過の両方を十分に行うことが可能です。
幅広い分野で使える20リットル以下の水槽用の高性能フィルターです。
特徴④ 洗って再利用が可能なので経済的
スポンジはごみや汚れが溜まると目詰まりを起こして濾過能力が低下しますので、定期的に揉み洗いをして洗浄する必要があります。
ウールマットのように洗うとすぐにボロボロになるということはなく、再利用も可能なので経済的に使用できるろ材です。
スポンジを洗浄する際には、定着したバクテリアが死滅しないように飼育水やカルキ抜きをした水を使用するようにし、軽く揉み洗いすればOKです。
硬めのスポンジであれば5年以上は使用することが可能ですが、柔らかい素材のスポンジの場合は1~2年程度使用しているとへたってきます。
スポンジの弾性がなくなり、揉み洗いの際につぶした後に元に戻らなくなったりしたら寿命なので新しいものに交換すると良いと思います。
特徴⑤ 様々な目の粗さの製品がある
スポンジには様々な目の粗さがあります。
目が細かいほど、より小さなごみまでキャッチすることが可能ですが、ごみが多く出る環境や大きなごみが発生する水槽ではすぐに目詰まりを起こしてしまいます。
環境や目的、メンテナンスの頻度に応じて使うスポンジの目の粗さを決めると良いでしょう。
特徴⑥ 軽い
スポンジは多孔質のボール状ろ材やリングろ材と比較して非常に軽いです。
特に、120cmや180cm水槽などに乗せる上部式フィルターでは濾過槽が非常に大きく、生物濾過能力が高いボール状ろ材やリングろ材を大量に使用すると重量が非常に重くなってしまいます。
水槽への負担や床の耐荷重が心配な場合は、スポンジのような軽いろ材を使用して、水を均一に落としてしみこませるドライ濾過にすれば、重量を大幅に減らすことが可能です。
スポンジを使用したドライ濾過の場合はろ材の量を増やしても濾過槽の重量が大きくは増えないのである程度は安心して設置できます。
ろ材としてのスポンジの使い方
スポンジの使い方① スポンジフィルター
スポンジを使用したフィルターや濾過装置の代表としては、やはりスポンジフィルターが挙げられます。
スポンジフィルターとは、その名の通りスポンジをろ材として使用するフィルター・濾過装置であり、水槽内にスポンジとパイプを設置し、スポンジから水を吸い込んでパイプを通して排水することにより水を循環させます。
物理濾過だけでなく生物濾過能力もあり手軽に導入できるため、小型水槽や、大型水槽でのサブフィルターとしてもよく用いられているフィルターです。
スポンジフィルターについては以下の記事でまとめていますのでそちらもご覧ください。
スポンジの使い方② 上部式フィルターに
スポンジは上部式フィルターにもよく使用されます。
上部式フィルターは一番上にウールマットを敷いておけば、細かいごみまでしっかりキャッチでき、その下に多孔質のボール状ろ材やリングろ材を入れれば効率よく生物濾過も行うことができます。
日ごろのメンテナンスも一番上のウールマットを交換するだけで良くなるので非常に簡単です。
しかし、多孔質のボール状ろ材やリングろ材の場合は濾過槽を水で満たしてウェットの状態で使用することが多く、濾過槽が大きいと重量も重くなり、大型水槽などでは水槽や床への負担が心配になります。
そのような場合はスポンジを使用すると濾過槽の重量を抑えることが可能です。
上部式フィルターでスポンジを使用する場合は、一番上にウールマットを敷き、その下にスポンジを設置して下部のみ水に浸かった状態の半ドライ濾過にするのが一般的です。
これにより、濾過槽の重量を抑えることが可能なだけでなく、スポンジに水が染み込みつつ空気にも触れるのでバクテリアが活性化して濾過効率が上がる効果も期待できます。
また、スポンジ自体も安価で手に入る上、汚れたら洗って再利用できるので非常に経済的です。
スポンジの使い方③ 外部式フィルターに
外部式フィルターには粗目のスポンジが使用されることが多いです。
ストレーナースポンジを使用していない場合は粗目のスポンジをはじめの方に入れておくと、物理濾過と生物濾過の両方の役割を兼ねて働いてくれます。
大き目のごみがたくさん入ってくるような環境では詰まりやすくなるので、粗目スポンジの前にリングろ材などの通水性の良い物理濾過用のろ材を入れておくとすぐに目詰まりを起こすのを防いでくれます。
ストレーナースポンジを使用している場合は、すでにスポンジで物理濾過が行われているので、物理濾過の観点では粗目のスポンジは必要ありませんが、一応生物濾過も行われますので使用していても問題はありません。
外部式フィルターの定番商品であるエーハイムの製品の場合は、製品ごとに純正のスポンジ(粗目パッド)が販売されています。
エーハイムの外部式フィルター用の粗目フィルターパッドです。
製品によって大きさや形状が異なりますので、間違えて購入しないように気を付けましょう。
特に、エーハイムクラシックシリーズの「2213(ろ材コンテナ専用)」と「2213(ろ材コンテナなし)」は似ていますが大きさが違います。
お手持ちのフィルター、濾過装置に合った適切な製品を選びましょう。
スポンジの使い方④ その他のフィルターの物理ろ材として
スポンジは、外掛け式フィルターや投げ込み式フィルターの純正ろ材の代わりに使用したり、物理濾過能力向上のために使用されることも多いです。
純正ろ材は割高なことが多いので、ウールマットやスポンジを切って入れたり、多孔質ろ材などを入れて使用している人は多いです。
スポンジを使用する場合は、できるだけ全ての水がスポンジを通って循環するようにすると効率よく水中のごみをキャッチすることができます。
また、スポンジが目詰まりしないように定期的に揉み洗いが必要になりますが、再利用は可能なので経済的に使用できます。
以下の製品のように、自由にカットして使えるスポンジを持っておくと、いろいろなフィルターや濾過装置に応用できるので良いと思います。
60cmの上部式フィルターに最適な粗目のマット(幅12×長さ37×厚み2cm)です。
濾過槽に入らない場合は適当なサイズにカットしてご使用いただけます。
外掛け式フィルターの場合は、目詰まりした際に水がスポンジを乗り越えても濾過槽から水がこぼれないようになっているかを十分に確認して使用するようにしてください。
また、電動ポンプ方式の投げ込み式フィルターに使用する場合は、モーターの羽(インペラー)に接触しないように注意する必要があります。
スポンジの使い方⑤ 大型水槽用フィルターのろ材の費用削減に
大型水槽の場合はフィルターも大きくなり、特に大型の外部式フィルターや上部式フィルター、オーバーフローフィルターでは大量のろ材が必要になります。
物理濾過用のリングろ材や生物濾過用の多孔質ろ材を、大きな濾過槽を満たすだけ購入するとなるとかなりの費用が掛かりますので、代わりにスポンジを使用すると安く抑えることが可能です。
大きなごみをキャッチしつつ通水性を確保できるリングろ材の代わりであれば、スポンジを1cm角程度に切るなどすればある程度は同様の効果が得られます。
生物濾過用の多孔質ろ材の代わりであればスポンジ内にしっかり通水するように、物理ろ材の後に切らずにスポンジを設置するなど、目的に応じて使い方を変えるとより効果的です。
この際に使用するスポンジはアクアリウム用のものを使用するのがベストですが、より安くスポンジを入手するために抗菌剤や界面活性剤が使用されていない洗車用スポンジを使用している人も多くいます。
まとめ
アクアリウムにおいては、スポンジもろ材として使用することがあります。
飼育水をスポンジを通して循環させることにより水中のごみをキャッチし、しっかりと物理濾過を行うことができるだけでなく、スポンジ内に定着したバクテリアによって生物濾過も行われます。
洗って再利用も可能であり、長期的に見ても経済的に使用できます。
また、様々な目の粗さのものがあるので、水槽の環境に合わせて使用する製品を選ぶようにしましょう。
スポンジの使い方としては、スポンジをろ材として使用するスポンジフィルターだけでなく、上部式フィルターや外部式フィルターなどでよく使用されており、外掛け式フィルターや投げ込み式フィルターの純正ろ材の代わりに使用されることもあります。
スポンジは多孔質のボール状ろ材やリングろ材と比較すると軽くて値段も安いため、大型水槽の上部式フィルターやオーバーフローフィルターなどの大容量の濾過槽で、ろ材の重量や費用を抑えるために使用されることもあります。
大きさや形状などの加工が簡単で、目の粗さも多様な製品があるため、様々なフィルターや濾過装置に応用が可能です。
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