アクアリウムで使用する水槽には、大きく分けてガラス水槽、プラスチック水槽、アクリル水槽があります。
このページでは、そのうちのガラス水槽について詳しく解説します。
ガラス水槽の特徴
ガラス水槽はその名の通りガラスを用いて作られた水槽のことで、昔から最も一般的に魚の飼育に用いられてきた水槽です。
ガラスの板をシリコンでコーキングして接着することにより製作するのが一般的です。
ガラス水槽の特徴は以下の通りです。
透明性が高く観賞性に優れる
ガラス水槽は透明度が高く泳ぐ魚の様子が非常にクリアに見えます。
ガラス水槽に用いられるガラスには、普通ガラス(フロートガラス)と高透明ガラスがあり、それぞれ見え方が異なります。
下の画像の上側が高透明ガラス、下側が普通ガラスです。
普通ガラスは安価ではありますが、水槽壁が厚くなると水槽自体が若干緑がかって見えます。
それでも透明なので魚の観賞には問題ありませんが、緑色が気になるという方は高透明ガラスでできた水槽を選ぶとよいと思います。
耐久性が高く傷がつきにくい
ガラス自体は耐久性が高く、経年劣化があまりありません。
また、傷がつきにくいので、ガラス面のコケ掃除の際に金属製のスクレーパーでこすっても問題がないので掃除がしやすいです。
また、ガラス面についた頑固な貝の卵の除去もスクレーパーを用いて簡単に行うことができますし、ガラス面の苔を歯で削りながら食べるプレコの飼育も可能です。
割れやすい
しかし、ガラス水槽はガラスなので衝撃には弱く、割れやすいです。
普通に使用していれば割れることはあまりないのですが、水槽を落としたり固いものにぶつけると割れることがあります。
割れ方にもよりますが、落としたりすると粉々に破片が飛び散ったりすることもあるので注意が必要です。
水槽立ち上げ時に新しい水槽を運んでくるときや、レイアウト用の岩の移動時などは気を付ける必要があります。
私も実際にガラス水槽を運んでいるときにぶつけて割ったことがありますし、通販で買った水槽が割れた状態で届いたこともあります。
また、水槽は水平で凹凸がない場所に設置するのが基本ですが、特にガラス水槽の場合は傾いていると一部に大きな負担がかかり、ガラスが割れて崩壊することがあります。
設置の前には傾きがないかしっかり確認する必要があります。
重い
ガラス水槽はアクリル水槽やプラスチック水槽と比較してもかなり重いです。
水槽の大きさごとの重さの目安を以下に示しますが、大型水槽になると一人で持ち上げるのは困難です。
水槽の種類 | 水槽の大きさ 幅×奥行×高さ [cm] |
ガラス水槽の 重量[kg] |
アクリル水槽の 重量[kg] |
水の量 [L] or [kg] |
20cmキューブ | 20×20×20 | 3 | 1 | 8 |
25cmキューブ | 25×25×25 | 5 | 2 | 15 |
30cm規格 | 30×18×24 | 4 | 2 | 12 |
30cmワイド | 30×24×24 | 5 | 2 | 17 |
30cmキューブ | 30×30×30 | 6 | 3 | 27 |
45cm規格 | 45×24×30 | 7 | 3 | 32 |
45cmワイド | 45×30×30 | 9 | 4 | 40 |
45cmキューブ | 45×45×45 | 20 | 7 | 91 |
60cm規格 | 60×30×36 | 14 | 7 | 64 |
60cmワイド | 60×45×45 | 24 | 10 | 121 |
60cmキューブ | 60×60×60 | 50 | 20 | 216 |
90cm規格 | 90×45×45 | 40 | 15 | 182 |
120cm規格 | 120×45×45 | 60 | 20 | 243 |
180cm規格 | 180×60×60 | – | 50 | 648 |
大きい水槽を導入する際は、ガラス製ではなくアクリル製を選んだほうが良いかもしれません。
ガラス水槽の値段
ガラス水槽はアクリル水槽と比較すると安価です。
30cm以下の小型水槽では1000円台から、60cm規格水槽で2000円台から、120cmなどの大型水槽でも20000円程度からとなっています。
ガラスの質や厚さ、曲げ加工の有無やシリコンの接着の質などによって値段は変わりますが、小型水槽であればお求めやすい価格で販売されています。
ガラス水槽の寿命
ガラス水槽の寿命は5年から10年程度と言われています。
ガラス自体は割れなければ経年劣化はほとんどないのですが、接着部分のシリコンが劣化して縮んだり剥がれたりすることにより水漏れが発生することがあります。
劣化の程度は水槽のシリコンコーキングの品質や使い方などの環境により変化します。
特に海水魚水槽の場合はゴカイなどのワームや小さな巻貝などが混入しているとシリコンをかじることがあり、漏水することがあります。
このようなことにならないように、海水魚水槽の場合はワームプロテクトと呼ばれるシリコン接着部のカバーを付けたほうが良いです。
また、海水でなくてもコーキングが粗悪な製品も稀に存在するので、そういった製品だとすぐに水漏れが発生したりしますし、金属性のスクレーパーなどでシリコンを引っ掻いてしまうと損傷して水漏れが発生することがあります。
このような場合はシリコンコーキング材で問題の部分を補強することにより再度使用することが可能ですが、きれいに補修するにはある程度の技術も必要です。
修理費用を考えればガラス水槽自体はそれほど高いものではないので、水漏れが発生する前に5年に一度くらいは買い替えるのが理想ですが、結構気にせず長期で使ってしまっている人が多いのが現状です。
私も水槽は買い替えが面倒で長年使ってしまっているものもありますが、今まで2回水漏れが発生したことがあります。
普通に使用している分には10年以上使用しても水漏れすることはなかったですが、15年くらい使っていた水槽や20年前に購入して外に放置していた水槽などでは水漏れが発生しました。
水漏れはそうそう起こることではないですが、起こった時は大変です。
ガラス水槽は長期使用に十分耐えうる水槽だと思いますが、早めの交換を心がけましょう。
ガラス水槽の構造①:オールガラス水槽とフレーム水槽
ガラス水槽にはオールガラス水槽とフレーム水槽があります。
オールガラス水槽
オールガラス水槽はフレームレス水槽とも呼ばれ、全面がガラスで作られている水槽です。
フレームがないので見た目が良く、観賞性を重視するならばオールガラス水槽のほうが良いと思われます。
しかし、オールガラス水槽はフレームによる補強がないため、フレーム水槽と比較して強度は低くなります。
そのため、ガラスの壁厚はその分厚めに作られているものが多く、フレーム水槽と比較して若干値段は高めです。
また、オールガラス水槽で上部フィルターを使用すると安定性が低く、伝い漏れで水が水槽外にしたたることがあるので、ほとんどの上部フィルターは使用が推奨されていません。
各メーカーより様々なオールガラス水槽が販売されています。
フレーム水槽
フレーム水槽は枠あり水槽とも呼ばれ、水槽の縁をフレームで囲んで補強した水槽のことです。
補強することにより強度が強くなるので、オールガラス水槽よりも水槽の壁厚を薄くすることが可能で値段も安めのものが多いです。
また、水槽上部にフレームがあれば上部フィルターも安定して設置することが可能です。
フレーム水槽のデメリットは、水槽の縁が白や黒などのフレームで囲まれるので、観賞性が低下するということがあります。
ただし、水槽のフレームも見方によっては水槽全体の外観を引き締める効果もありますので、インテリア性が極端に低下するわけではありません。
各メーカーより様々なフレーム水槽が販売されています。
ガラス水槽の構造②:縁ありガラス水槽と曲げガラス水槽
ガラス水槽には、通常の縁ありガラス水槽と、曲げ加工を行うことによりガラスの接着部分をなくして観賞性を高めている曲げガラス水槽があります。
基本的に水槽は前面から見るので、水槽前面のみ曲げガラスになっていることが多いです。
水槽の接着部による切れ目がなくなるので水槽自体の見た目はよくなりますが、丸みを帯びている部分から水槽内を覗くとレンズ効果で拡大して見えたり、魚が観察しずらかったりもします。
値段についても加工が必要なので少し高めになります。
また、曲げガラスの部分は曲面であるため、スクレーパーを用いたコケ掃除や貝の卵の除去はやりにくいです。
その場合はメラミンスポンジを用いたり、曲面に対応したスクレーパーを用いるなどの工夫が必要です。
各メーカーより様々な曲げガラス水槽が販売されています。
まとめ
ガラス水槽について簡単にまとめると以下の表の通りになります。
ガラス水槽はいろいろなタイプのものが販売されていますので、どんな水槽が良いか事前に考えてから購入すると良いと思います。
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